ネット時代に求められる「クリティカル・シンキング」

ある情報を私たちが信じてしまう背景には、おもに3つの理由が関係すると言われています。

・「専門家」と呼ばれる人によって解説されている
・具体的なデータが「証拠」として提示されている
・ネットを含むメディアによって、多くの人に伝達されている

新型コロナウイルス問題についても様々な「専門家」が多くのメディアに登場し、それぞれの持論を語っていますが、それによって消費者の間に混乱が生じているのも先に述べた通りです。

松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)
松本健太郎『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)

ある意味、真実とは専門家の数だけ存在するのが現実ですので、どの意見を採用すればいいかは、結局は消費者が個別に判断していくしかありません。

また、私たちは「データ」を提示されるとつい信用してしまいがちなのですが、都合のいいデータだけを提示する、ひどい場合にはデータが偽装されているなんて場合もあるので、そのまま鵜呑みにしてしまうのは危険です。大切なのは、どの情報についても頭から鵜呑みにはせず、クリティカル(批判的)に検討していく思考の癖を身につけることだと思います。

クリティカルという言葉の本来の意味は「規準に照らして判断する」です。つまり、本来の「クリティカル・シンキング」とは「適切な規準や根拠に基づいて思考し、バイアスに依存しない」ことではないかと思うのです。

つぎの3つを守るよう心がければ、「煽られて」「騙されて」搾取されるのを防げるのではないでしょうか。

・専門家の意見だけでなく、自分の頭で考える
・専門的な情報を仕入れ、それが正しいかを確認する
・データが正しいかどうか、クリティカルに考える

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