なぜ前原氏は菅氏が混乱を招いたかのように証言するのか

私がこの経験をこの度の前原氏の発言と照らして思い返す時、次のような経緯で中国人船長が釈放されたのではないか、と考えています。

① 国交相として、前原氏は日中間密約を外れ、厳正に中国人船長を取り締まった
② その後外相になった前原氏は、中国に迎合的だったオバマ米民主党政権に迫り、「安保条約5条の尖閣適用」を表明させようとした
③ 日中間の軋轢あつれきの早期収束を希望した米国側が「船長の早期釈放」を要求したことに対し、②を条件に菅首相・前原外相がこれに応えた。

①~③の事情が存在したと考えて、初めて仙谷長官のふるまいについての合理的な説明がつくと思います。

そして②については、前原氏は前出の産経記事で「20年来の知り合い」であるキャンベル国務次官補(当時)に、「尖閣への(安保条約)5条適用」を米側が発言するよう頼んだと言っていますから、余計にそう思えますね。うがった見方かもしれませんが、前原氏はあえて菅氏が混乱を招いたかのように証言しつつ、米側の「尖閣への5条適用」の言質を取ったという自分の手柄を引き立たせたいのでしょうか。

少なくとも自身が責任を持って関わった「逮捕」「釈放」の決定について、詳しく説明を聞いてみたいものです。今回のいずれの記事でも、これらに「無関係」を装っているように見えてなりませんから。

【関連記事】
元海自特殊部隊員が語る「中国が尖閣諸島に手を出せない理由」
「扱いが現地の人と同じ」駐在ビジネスマンが中国隔離で目の当たりにした4大不便
資産の海外逃避を急ぐ中国の超富裕層とそれを食い止めたい中国政府の最終決戦
「これがヘル朝鮮だ」日本にはあって韓国のキッザニアにはないお仕事
橋下徹「なぜ菅改革はこんなにスピーディなのか」