なぜダイエットはなかなか成功しないのか。『医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた』(KADOKAWA)を書いた朽木誠一郎さんは「ダイエットの大敵は『ヘルシーそうなイメージ』に代表される主観と客観のズレだ。これを矯正できればラーメンも決して怖くない」という――。
本格豚骨ラーメン
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逆にラーメンを食べなければダイエットは成功するのか?

私はダイエットをしている。そして、私はラーメンを食べる。

こう聞いて、あなたは「矛盾している」と思っただろうか。

実は、この二つの事実は矛盾していない。実際に私はこの生活をして、体脂肪率10%以下の体をキープしているからだ。

これは「太りにくい体質」のアピールではない。私はかつて体重115kg・体脂肪率33%の高度肥満であり、そこから現在の体重74kg・体脂肪率8.9%まで体を絞った経験の持ち主だ。

例えばラーメンはダイエットの大敵であるように言われる。ハイカロリーであり、栄養バランスが炭水化物と脂質に偏っている、という指摘は正しい。

しかし、逆はどうだろう。つまり、「ラーメンを食べていなければダイエットは成功するか」という命題だ。これは偽である。ラーメンを食べていないからといって、ダイエットが成功するとは限らない。

なぜなら、ラーメンを控えるダイエッターでも、「ヘルシーそうなイメージ」からサンドイッチを食べすぎていたり、清涼飲料水を飲みすぎていたりして、結果的にラーメンよりも太りやすい食事をしていることがあるからだ。

私は医療記者として、これまで「なぜ人は太るのか」「どうすればやせるのか」を取材してきた。

ダイエットの大敵とは、「ヘルシーそうなイメージ」に代表される、主観と客観のズレである。これを矯正できれば、ダイエット中のラーメンも決して怖くはない。そしてそこに必要なのは、正しい知識と無料のアプリ、安価なガジェットだけだ。どういうことなのか、実際の私の生活を例に紹介していく。

ラーメンよりサンドイッチ+αが太りやすい理由

一般的なラーメンの栄養成分をチェックしてみよう。スープまで飲みきったとして、ある豚骨チャーシュー麺の栄養成分はカロリー約770kcal、炭水化物約90g・たんぱく質約30g・脂質約35gだった。

比較の対象として、あるコンビニのハムたまごサンドを挙げる。これは一包装あたりカロリー約320kcal、炭水化物約20g・たんぱく質約12.5g・脂質約20gだ。これを二袋も食べれば、脂質の量は汁まで飲んだ豚骨チャーシュー麺を超える。

500mlのスポーツドリンクを合わせればカロリー量は+125kcal、炭水化物量は+30gされ、豚骨チャーシュー麺とほぼ同等になってしまうのだ。

大事なことなのでもう一度、繰り返そう。この場合、「豚骨チャーシュー麺」と「ハムたまごサンド2パック&スポーツドリンク500ml」はほぼ同等のカロリーと炭水化物量で、脂質は後者の方がむしろ多く、たんぱく質は少ないのだ。

では、両者はどちらが「ヘルシーそうなイメージ」だろうか。もちろん、正しく認識できている人は問題ない。しかし、そうではない人は後者を選ぶだろう。そして「ダイエットしているのにやせない」と嘆くことになる。