動いているつもりになっている人たち

ダイエットの原理原則は「摂取カロリー<消費カロリー」だ。簡単に言えば、食べる量を減らすか、動く量を増やせば、人は必ずやせる。

農林水産省の公式サイトによれば、18歳から69歳の男性について、一日の身体活動量がふつう以上の場合に摂取カロリーの目安は2400~3000kcal、少ない場合は2200±200kcalだ(女性は2200±200kcalと1400~2000kcal)。

これはBMIが25未満で脂肪の蓄積がない、医学的に肥満に該当しない人の場合。医学的に肥満に該当する場合は、まず標準体重(※)1kgあたり25kcal以下、高度肥満症で20~25kcal未満が摂取カロリーの基準になる。

※身長(m)×身長(m)×BMI22で算出した値。身長175cmの私なら1.75×1.75×22=約67kgとなり、高度肥満だった当時の摂取カロリーの目安は約1700kcal。

ただし、摂取カロリーについてはバランスも考慮しなくてはならない。摂取エネルギーに占める糖質・たんぱく質・脂質の栄養素の配分は、日本人においては一般的に糖質50~60%、たんぱく質15~20%、脂質20~25%が推奨される。BMI25以上の肥満であれば、たんぱく質は多めに、脂質は少なくすることも必要だ。

また、完全に食べなければいいのかといえば、当然そうではない。「ファスティング(断食)」のような「ダイエット法」は、体の筋肉を分解させ、基礎代謝を低下させることがある。かえってやせにくい体になるばかりか、ボディラインが崩れてしまうことにもつながるからだ。

ダイエットの原理原則、正しい知識とは、つまるところこのようなものだ。「そんなことはわかっている」と思った人も多いことだろう。

にもかかわらず、ダイエットに悩む人が多いのは、ヘルシーそうな食事(その実、ヘルシーというわけでもない)を摂って、運動していると思い込んでいるから。つまり、「食べていないつもり」「動いているつもり」になっているためだと推察できる。これが、私が「主観と客観のズレ」がダイエットの大敵であるとした理由だ。

ダイエット
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アプリとガジェットで「ズレ」を矯正

では、どうすればこの大敵を打ち負かすことができるのか。カギとなるのが「ダイエット管理アプリ」と「アクティビティトラッカー」、そして「体組成計」だ。

「ダイエット管理アプリ」とは、食事のカロリー量を写真から自動で計算してくれたり、メニューから検索できたりする便利なアプリ。無料のものが多く、『カロママ』や『あすけん』などが有名どころだ。

食事をしたら写真を撮影してアプリにアップするか、手動で内容を入力。すると、その食事による摂取カロリーを推計してくれる。こうすれば「食べていないつもり」は起こり得ない。栄養バランスも自動的に分析され、前述したラーメンとサンドイッチの比較も、たちどころにスマホが注意してくれるのだ。

冒頭で私は好きにラーメンを食べていると言ったが、もちろん三食すべてをラーメンにしているわけでも、毎日ラーメンを食べているわけでもない。

週に1~2回、ラーメンを食べては、このようなダイエット管理アプリの力を借りて、残り二食、あるいは翌日に、摂取カロリー量や炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスを調整している。

人間は一晩でいきなり太るわけではないのだ。上手に「つじつま」をあわせてやれば、好きなものを食べながら体型を維持することができる。