会議室は「野戦病院」に改装できるようにするべきだ

事業用不動産の市況についても同様だ。パンデミックはすでに始まっていた傾向を加速させるだけだろう。大型商業施設は存在意義を失い、施設によっては統廃合を強いられるに違いない。これは今後数カ月から数年にかけての大きな課題の一つだ。

とくに公共性の高い建物では、病原体への感染対策に万全を期す必要がある。既存の建物であれば、建物内を抗菌処理し、清掃しやすくする。手を触れずに扉を開閉できるようにする。建物に入る前に体温測定を実施し、人の流れを一方通行にする。マスクとアルコール水溶液ジェルを建物内の至る所に用意する。自動洗浄式トイレを設置し、室内の空気の質を大幅に改善する。これから建てる建物であれば、再生可能エネルギーを利用すべきだ。

そして、すべての建物は、危機の発生時に用途をすぐさま変更できるように設計しなければならない。多目的室は住居を失った人の避難所、会議室は「野戦病院」に改装できるようにするのだ。バカンス村は隔離施設としても利用可能な構造にすべきだ。

すでに企業は大都市を離れている

多くの企業は大都市を離れ、本社を中堅都市に移すだろう。

テーブルと椅子
写真=iStock.com/Igor Kutyaev
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こうした動きはすでに散見できる。ウーバー・テクノロジーズ〔自動車の配車・相乗りサービス「Uber」を運営〕はダラス〔テキサス州〕、リフト〔ウーバーと類似のサービス「Lyft」を運営〕はナッシュヴィル〔テネシー州〕、アップルはオースティン〔テキサス州〕へ本社を移動させようとしている〔いずれも現在の本社はカリフォルニア州〕。

数年前から、ブラチスラヴァ〔スロバキアの首都〕、リスボン〔ポルトガルの首都〕、エディンバラ〔スコットランドの首都〕、ヴィリニュス〔リトアニアの首都〕、クラクフ〔ポーランド南部の都市〕などのヨーロッパの中堅都市には、賃料の安さや現地での生活の質の高さからハイテク起業家が集まり、ビジネスコミュニティが形成されつつある。