アフターコロナで伸びる市場と、そこで求められる人材のスキルやマインドはどのようなものなのか。独立研究者の山口周さんは「これからは仕事の場が仮想空間へシフトし、物理的距離に関係なく仕事ができるようになります。そうなるとユニークネス、その人らしい個性や強みがない人にはとてもつらい状況になる」――。(インタビュー構成=THE21編集部)

※本稿は、THE21編集部『論客16人が予測する コロナ後の新ビジネスチャンス』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

新しい正常
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日本人は「普通じゃない」側に回ることを恐がる

コロナ禍をきっかけに、「これからのニューノーマルとは何か」という議論をよく見聞きするようになりました。私はそのたびに、極めて日本人らしい問いの立て方だなと感じています。

ニューノーマルとは、「新しい普通」ということでしょう。この言葉の前提には、世の中を「普通なもの」と「普通じゃないもの」に二分する思考様式があります。特に日本人は、自分が「普通」であることに安心し、「普通じゃない」側に回ることを恐がる傾向が強い。ニューノーマルという言葉からは、「普通がいい」という強いやまいを感じます。

私は、これからの時代は「普通」がなくなっていくだろうと予測しています。つまり、ニューノーマルではなく、「ノーノーマル」の時代です。

これまで多くの人は、毎日会社へ行くのが普通だと思っていました。しかしリモートワークが拡大した今は、「2週間に一度出社すればいい」という会社もあれば、「週に2日出社して」という会社もある。もちろん、「うちはリモートワークが難しいから、やっぱり週5日出社するように」という会社もあります。

そうなると「週に何日出社するか」だけでも会社によって様々で、「普通」なんてどこにも存在しなくなります。これからの社会は多様性が増すということです。