乳幼児用品を扱う西松屋は、どこの店もガラガラだ。店内がすいているだけでなく、駐車場もすいている。しかし売上高はこの25年間右肩上がりで、前期はなんと1429億円だった。なぜガラガラでも堅調なのか。経営幹部を直撃した——。
西松屋の店舗
画像提供=西松屋チェーン
西松屋チェーンライフガーデン水巻店(福岡県)

「郊外、1000坪、車を直付けできる店舗」を目指している

——コロナ危機にあっても業績を伸ばす一方で、「ガラガラ店舗」が話題です。これは狙い通りですか。

【常務執行役員店舗運営本部長・坂本和德氏(以下、坂本)】お客さまにストレスを感じさせることなく、気持ちよくお買い物をしていただきたい。このことを第一に考え店舗運営を行っています。

西松屋が考える「買い物しやすい店舗」を具体的に言うと、郊外に1000坪ほどの広い立地で駐車場付きの独立店舗を構え、入り口の前に車を直付けできるような外観を持った店です。

西松屋チェーン 常務執行役員店舗運営本部長の坂本和德さん
西松屋チェーン 常務執行役員店舗運営本部長の坂本和德さん(撮影=プレジデントオンライン編集部)

これによって小さいお子さま連れで身動きが取りづらいお客さまも店内に入りやすく、短時間で移動できる動線が確保できます。駐車場もできるだけ一台あたりのスペースを広く取ることで、駐車が苦手な方でもストレスを感じさせないようなレイアウトにしています。

郊外に出店が多いのは、人が密集している都市部は家賃も高く出店コストがかさむため、それを回避した結果です。交通の便が良く、ニューファミリーが多い郊外に独立した店舗を広く構える。そうすることで低価格で商品を提供でき、お客さまにも気持ちよくショッピングしていただけるのではないかと考えています。

従業員は2名が基本、作業内容は極限まで簡素化

——店内ではお店の方もほとんど見かけない気がするのですが……?

【坂本】同時間帯に従業員2名というのが基本体制です。働く側のストレスが少なくなるようなオペレーションを心がけており、基本的には、お客さまにお声がけをするような接客はしません。新人の方でもすぐに熟練のパートさんと同じレベルの仕事ができるように、作業内容を極限まで簡素化しているため、心身に大きな負荷がかかるような仕事は少ないと思います。

また、洋品の商品陳列にも独自の工夫があり、全ての衣料品がハンガー陳列です。お客さまはいちいち広げる手間や畳む手間がいりませんし、サイズや柄が確認しやすい。こういった点でもストレスのない買い物ができる工夫をしています。

これは、店員にとっても畳み直す手間がなくなるので、作業効率のアップにつながっています。

1000店舗あると比較的、家の近所に店舗があるので、通勤に関してもストレスがありません。自転車通勤されている方も多いようですね。

西松屋の店舗内。衣類だけではなく子育てに必要な用品を取りそろえている
画像提供=西松屋チェーン
西松屋の店舗内。衣料品はすべてハンガーで陳列されている。