部分的に減税しても意味がない

「消費税は下げるべきだけれど、所得税と法人税は上げてもいいんじゃないか。金持ちからぶんどってやれ」と言う人がいます。前章ではこの点について、有権者が分断されて敵の思うつぼだから、戦略的に無視せよと言いましたが、ここでは、本質的な話をします。

税金は税金です。一つを下げても、他が上がったのでは意味がありません。

所得税と法人税を増税するとします。増税したお金は何に使われるのでしょうか。本当に福祉に使われると思いますか。基本的に、取られた税金が何に使われるかは定まっていません。税金に色はついていないのです。

そして、あなたが支払った税金はある意味で、増税をするために使われるのです。「そんな、バカな!」と思うでしょうが、事実です。

例えば、財務総合政策研究所は財務省に属する機関です。元財務省の官僚で大学教授に天下った人などが籍を置いているところで、財務省のおかかえ御用学者がずらっと並んでいます。

彼らは一生懸命、ありとあらゆる増税方法を考えます。今年2020年ですと、コロナ関連増税、その一環として交通税を導入しようなどと言っている人たちも、ここに在籍しています。

たばこ増税もひとごとではない

では、彼らの研究費や人件費、事務経費は、いったいどこから出ているのでしょうか。僕たちが払った税金です。つまり、所得税や法人税を払うと、そういう使われ方をするのです。消費税を下げて所得税や法人税を上げたら、所得税・法人税の上がり分で、どうやって消費税を増税するかを研究する金に使われる。

つまり、めぐりめぐって同じこと。所得税・法人税が上がると、それと引き替えに下がったはずの消費税がまた上がるのです。

「たばこ税」も同様です。たばこが死ぬほど嫌いな人は、「たばこ税なんか、どんどん上げたらいい」と思うでしょう。しかし、これも税収ですから、敵にとっては同じ「上がり」です。彼らは収入が増えると、こちらが下げてほしいと思っている税金、例えば消費税を上げるために使います。

また、少し想像すればわかりますが、税金が増えて利権を受け取る団体が増えると、その関係者は増税に賛成します。自分にお金を運んでくれる仕組みに誰も文句など言うわけがありません。