追随する北海道のスキーリゾートたち

ニセコの成功事例は、北海道の他のスキー場も刺激している。

富良野スキー場では、富良野初の高級コンドミニアムとして今年12月に「フェニックス富良野」が開業する。客室数61部屋でスキー場に直結しており、最も高い部屋で2億円を超え富良野エリアでは最高価格帯だが、華僑を中心とした富裕層に既に全戸完売だという。

富良野だけではない。ウェスティンルスツリゾートに加え、高級コンドミニアムの「ザ・ヴェール・ルスツ」を有し、ニセコからも近く、加森観光が運営するルスツリゾート。シェラトン北海道キロロリゾートに加え、高級コンドミニアムもあり、リフト新設などスキー場への投資も行っているタイ資本のキロロリゾート、星野リゾートやクラブメッドがあるトマムなど、海外富裕層のスキー需要と、国内外投資家の収益ニーズを満たすようなスキーリゾートが、北海道には増えてきている。

ニセコに次ぐインバウンド集客力を誇る「白馬」

本州のスキー場では、白馬の先駆的な試みが目立つ。白馬は、1980年代のバブル期には国内有数のスキー場として謳歌を誇ったものの、他の多くのスキー場と同様に、バブル崩壊による国内市場の縮小やデフレ経済の進展により、スキーヤーは減少し続けた。1998年には長野冬季五輪のアルペンスキーの会場となったものの、スキーヤーや宿泊客が増えることはなく、多くの宿泊施設が廃業に追い込まれてきた。

冬の白馬山
写真=iStock.com/Yokerz
※写真はイメージです

閉塞感ある状況を打破するため、索道事業者が中心となり、2019年4月に、一般社団法人HAKUBAVALLEY TOURISM(白馬バレーツーリズム)が広域DMO(観光地域づくり法人)として誕生した。

白馬バレー(HAKUBA VALLEY)は、白馬八方尾根スキー場など10のスキー場で構成されるが、共通自動改札システムの導入や、地元バス会社と連携し、羽田や成田、中部、関西からの高校バスによる直通便を増発、各スキー場をつなぐシャトルバスや、ナイトシャトルバスの運行に加え、アプリにより観光情報、スキー場の天候、リフト運行状況などの発信も始めている。

こうした施策に加え、ベイルやウィスラーなど海外の高級スキーリゾートとのシーズンパス提携による知名度やブランドイメージが向上寄与し、白馬バレーの2018~2019年シーズンの総来場者数は、約154万人、このうち外国人が前年比11%増加の約36万7000人と総来場者数の24%を占めるに至っている。スキー場として、ニセコに次ぐ国内2位のインバウンド集客率だ。今年7月の基準地価では、商業地における上昇率で、白馬(白馬村)が30.3%と、ニセコ(倶知安町)の32.0%に次ぎ、全国4位にランクインしている。