海外富裕層の集客に成功しているニセコ

いずれ、インバウンドが回復しても、当面は、安全・安心が最優先されるため、観光に関わるコスト増加は免れず、結果的に、旅行者数は減少し、所得に余裕のある富裕層が中心顧客に返り咲くことになろう。

コロナ禍が収まり渡航解除後には、国内のスキーリゾートも、旅行消費額単価の高い豪州、米国、欧州や華僑など富裕層が満足するようなサービスをより充実させるべきということになる。こうした海外富裕層をターゲットにして成功しているスキー場の事例は既に日本にもある。それはニセコだ。ニセコでは、パウダースノーを求めて「外国人による外国人のための楽園」ができており、コロナ禍でも地価の上昇が続いている。5つ星ホテルのパークハイアットがあるのは、日本では、東京、京都、ニセコのみだ。リッツ・カールトンが今年12月に開業し、さらにアマンの建設も進行中だ。

ニセコ・羊蹄山のスキー場
写真=iStock.com/Keattisak A
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世界的なスキーリゾートとなったニセコを支えるのが海外企業と海外富裕層だ。実際、パークハイアットは香港資本、リッツはマレーシア資本、アマンはシンガポール資本による大規模開発だ。

コロナ禍でも不動産投資が活発

バブル崩壊後、西武グループや日本航空など日本企業がニセコから相次いで退却するなか、不況下の日本で自らリスクをとって、ニセコに投資した外国人や外資系企業によって今のニセコがある。この先も、巨大な外資系資本による大規模開発はめじろ押しであり、2030年の北海道新幹線の新駅開業、高速道路の開通だけでなく、札幌オリンピックの会場となる可能性もあり、ニセコの未来は輝いている。

無論、足元ではコロナ禍が続いており、インバウンドはゼロだ。ニセコも例外ではなく、実体経済はダメージを受けているのは確かだ。

しかし、一方で、コロナ禍以降も、ニセコでは、大型開発は継続しており、北海道新聞によれば、さらに、中国や韓国、タイ、シンガポール資本による新たな開発計画も明らかになっている。国内外の富裕層による億円単位の不動産投資も引き続き活発だ。

ニセコは、パウダースノーという絶対的なキラーコンテンツを生かし、海外、富裕層、スキーに絞った「選択と集中」を実践してきた。

世界的な金融緩和策もあり、国内外の富裕層が集まり、良質なホテルやコンドミニアムなどが供給され、ブランド化が進み、資産価値の上昇により、さらなる開発投資が行われる、という、投資が投資を呼ぶ好循環が続いているのだ。