「スポーツ」「アウトドア」と好相性

なぜ、ワークマンはコロナ禍に強いのか?

「#ワークマン女子」の取材を通じて、3つの強みが見えてきた。

ひとつは、コロナ禍で「スポーツ」と「アウトドア」という、密を避ける屋外の2つのマーケットが急拡大したことが挙げられる。新しい生活様式で行動に制限を受けた人たちが、こぞってウオーキングやキャンプに手を出し始めた。

しかし、収束が見えないコロナ禍において、消費者の財布のひもは堅い。本来であればハイブランドなアウトドアウエアやスポーツウエアを買いたいところだが、半値以下の高機能なワークマンのウエアに目移りしてしまった可能性は高い。

「ワークマンの女性向けのウエアは、昨年対比で2.5~3倍の売れ行きなんです」

林さんは「#ワークマン女子」をオープンさせる理由をそう説明する。作業服以外の商品が好調に売れている背景を考えると、新しいマーケットの、新しい顧客が増えたことは確かなようである。

「#ワークマン女子」のスタイリング例。トップスの「ダイヤフリースカーデガン」は1900円。「裏アルミ仕様で防寒に優れ、さらにデザインが触り心地の良いフリースを採用!」とうたう。
「#ワークマン女子」のスタイリング例。トップスの「ダイヤフリースカーデガン」は1900円。「裏アルミ仕様で防寒に優れ、さらにデザインが触り心地の良いフリースを採用!」とうたう。(ワークマン公式サイトより)

「担当者総入れ替え」で作ったインスタ映えスポット

ワークマンのもうひとつの強みは、大胆なSNSの戦略である。

有名YouTuberやブロガー、インスタグラマーにアンバサダーに就任してもらい、製品開発や新商品の情報を独占的に配信してもらっている。SNSを通じて熱烈なワークマンのファンを作り、またその人たちに情報を発信してもらう仕組みが、ワークマンには出来上がっている。しかも、アンバサダーたちは無償でワークマンの情報発信に力を貸してくれているのである。

有名タレントやスポーツ選手をイメージキャラクターに添えたことで、売り上げが伸びる時代ではない。それよりも、インフルエンサーたちと良好な関係を作り、無償でSNSを通じて情報発信をしてくれたほうが、企業の宣伝方法としては費用対効果が高いといえる。

店内にはアンバサダーを紹介するPOPがあった。
筆者撮影
店内にはアンバサダーを紹介するPOPがあった。

横浜桜木町駅前の「#ワークマン女子」の店内にはインスタ映えスポットを4カ所用意している。来店してくれた人や、試着した人に店内で写真を撮影してもらい、SNSで拡散してもらうことが狙いだ。

「最初は男性社員だけでインスタ映えスポットを作ったんです。しかし、女性社員たちに酷評されて、担当者が総入れ替えになってしまったんです(笑)。結局、広報部の女性社員を中心に、女性アンバサダーのアドバイスを受けながら、新たにインスタ映えスポットを作り直しました」(林さん)

ワークマンのSNSに対する本気度は、他のアパレル企業と大きく違うようだ。