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※本稿は、小宮一慶『できる社長は、「これ」しかやらない 伸びる会社をつくる「リーダーの条件」』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
コロナ禍で生まれた新たなチャンス
皆さんもコロナで困ったことはたくさんあったでしょうが、こういう状況があったからこそ気づけたこと、できた工夫などもけっこうあるのではないかと思います。
うちの会社では、オンラインで講演やセミナーをやるようになりました。最近はさらに、オンラインとリアルを組み合わせた形でもやるようになりました。会場に直接来て聴きたいという方は会場にお集まりいただき、オンラインで参加を希望される方はオンラインで参加していただく。
やってみる前は、一体感が出るだろうかと心配していましたが、リアルのメリットとオンラインのメリットが両方とも活き、思っていた以上に奏功しています。これまで、定期的なセミナーに参加するために長時間かけて来られていた方たちから、「移動時間も交通費もかからずに参加できるようになった」と好評で、お客さまにとってもメリットになっています。
コロナがなかったら、こうした形にチャレンジすることは考えていなかったと思います。困っている状況があったからこそ生まれた工夫の一つです。どんなにピンチでも、チャンスに変えられることが何かあるものです。必要に迫られて何か新しいことを始める場合、新たな可能性の芽がいろいろあると思うのです。
お客さまのためにやれることはないか、考え続ける
自粛期間中、たまたまNHKのニュース番組を見ていたら、食品を扱っているところが大量に在庫を抱えて困っているという話をやっていました。それで「うちの会員企業のお客さまの中にも、同じような状況で困っているところがあるのではないか? 何かお役に立てることはできないだろうか」と思い、会員限定のお客さま向けの支援プロジェクトを始めることにしました。
定期的にセミナーを受講していただいている会員の方が、現在、450人ほどいらっしゃいます。当社が仲介機能を果たして、会員相互の助け合いができるのではないかと考え、「販路に困っている商品や、逆にコロナに役立つ商品など、売りたいものがあったら出してください」と呼びかけることにしたのです。
会員同士というご縁を通じて、支え合える場、助け合える場の一つにしていただければという試みです。もちろん、当社はそこでもうけようとは一切考えていません。普通の状況でしたら大きなお世話かもしれませんが、こんなときだからこそ、互助精神のようなものが有難いのではないかと考えたのです。