また改葬する際、費用を安く抑えるため、「それまでの墓石を、新しく入るお墓に再利用したい」という人もいます。しかし、ほとんどの場合、移転先で外柵(墓の基礎工事にあたるもの)を新しくつくる必要があり、墓石の運搬費用も意外とかかること、さらに新しい外柵との見た目のバランスなどを考えると、素直に新しい墓石を用意したほうが無難といえます。

お世話になった菩提寺に改葬を申し出るのは気が引けるという人もいるでしょう。しかし、お寺にとっては、誰もお参りに来ないで墓地が荒れてしまうことのほうが迷惑。きちんと事情を話せば、ほとんどの住職は快く送り出してくれるはずです。

むしろ気をつけたいのは、親族の意向です。たとえ自分が長男でも、勝手に先祖代々のお墓を移すと、トラブルに発展する恐れがあります。改葬の前に、きちんと親族の合意を取り付けておくことは必須です。

もし事情があって改葬も難しいという方は、お寺に相談してみてください。

墓地管理運営者は、縁故者から連絡なく管理費が滞納される場合、官報への掲載や現地の立札による呼びかけなど所定の措置を講じれば、お墓を自由に処分していいことが法律に定められています。放置していたら先祖代々の墓が無縁墓になっていたという最悪の事態を招かないよう、管理費を数年分まとめて払うなど、住職の意向に沿って対応したほうがいいでしょう。

(構成=村上 敬)