部下に言ってよい言葉
まず、部下に言ってよい言葉から。
・「一緒に考えてみようか」
この言葉があるかないかで部下が受ける印象は全く違う。叱責のときの必須語句である。
・「オレはこうしてくれるとうれしい」
管理職研修で必ず出てくるいわゆるIメッセージである。これがYOUメッセージになると「君はこうしないとだめだろう」と一方的なメッセージになる。
・「君にはこんないいところもあるんだから」
叱責の時に欠点ばかりを攻撃すると部下は立ち直れない。いいところが見つからない部下もいると困るが。
・「君の得意なところから始めようか」
これは部下に自信を持たせるためである。
・「どんなことがあっても君の味方だから」
叱責の最後に使われるキメぜりふである。こう言ったからには味方にならなくてはいけない。
部下に言ってはいけない言葉
一方で、部下に言ってはいけない言葉は次のようなものが典型だ。
・「なんでできないんだ」
これはよい言葉の「一緒に考えてみようか」の裏にあたる。部下からすればそれがわからないから苦労していると言いたくなるだろう。
・「やるのが当たり前だろ」
こう言われては反発するだけである。
・「もうオレは知らん」
このように突き放してしまうとコミュニケーションが断絶する。
・「会社に入って何年になるんだ」
これもよく出るセリフであるが言われた部下はむなしくなるだけだろう。正直に「●年目です」と言っても上司は納得してくれない。
・「あいつはこんなに営業成績がいいのに」
比較されると劣等感が植え付けられ自信を失うだけである。
人間関係が良好に保たれていて、コミュニケーションが普段からきちんと取れていれば、少々厳しい指導をしても、パワハラにはなりにくい。だからこそ、日頃の言動は極めて重要になる。
パワハラの相談を受けた時の三大禁句
また、部下や後輩からパワハラに関する相談を受けることもあるだろう。そういうときの三大禁句もあげておこう。
・「あなたにも悪いところがあるのではないですか」
・「それくらいみんな我慢してますよ」
・「なぜやめてくださいと言わなかったのですか」
私が企業の相談員に向けての研修でこれを紹介すると、出席者から、「どれも言ってしまいそうになります」という感想が必ず出る。
相談者は勇気を奮って相談に来る。にもかかわらず相談の場でこのような言葉を受けたときのショックは大きい。このような被害を二次被害という。