東大生は多くが官僚になる。それは大学1年生時点から決まっているようだ。東大卒業生でライターの池田渓さんは「代々1年生は、期末試験を乗り切るための『シケ対』という互助会を組織する。この組織に法律を作って粛々と運用する官僚の資質を感じた」という——。

※本稿は、池田渓『東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

赤門(東京都文京区の東大・本郷キャンパス)=2020年2月27日
写真=時事通信フォト
赤門(東京都文京区の東大・本郷キャンパス)=2020年2月27日

期末試験を乗り切るための互助会「シケ対」

東大の定期試験を語るうえで欠かせないのが「シケ対」と「シケプリ」だ。

シケ対は東大生が自主的につくり、脈々と運営し続けてきたシステムで、正式名称を「試験対策委員会」という。

東大の教養課程は科類と選択した第二外国語(初修外国語)によってクラス分けがなされ、必修の授業はそのクラスごとに受けることになっているのだが、シケ対はそのクラス内に組織される、期末試験を乗り切るための互助会だ。

シケ対は教養課程で行われている主だった講義に対して、クラス内でそれぞれ1名の担当者を割り振る。担当者は講義へ出席してノートをとり、試験の過去問の収集と分析を行うことが義務づけられる。そして、試験前になると、それらの情報を分かりやすくまとめた試験対策プリント、通称「シケプリ」を作成し、クラス内で共有するのだ。

代々受け継がれる「神シケプリ」

どのようなシケプリを作成するかはその講義の担当者に任されているが、そこは散々受験勉強をやってきた東大生、授業のノートをまとめたり過去問を分析したりするのはお手の物だ。参考書のマニアも多く、そのような「勉強のオタク」たちによって嬉々として作成されるシケプリは、板書をただ写し取っただけにとどまらず、難解な講義をかみ砕いて解説し、過去問に加えて予想問題まで付いていることもあり、試験で効率よく点をとるのに非常に役立つものとなっている。

シケプリは往々にして教官の授業よりもよっぽど分かりやすい。東大の教官は研究者ではあっても教育者ではないことが多く、それを公言するものもいる。そういう教官の講義スキルは、ビジネスとして物を教える予備校教師などの足元にもおよばず、とにかく不親切で分かりにくい。

勉強は自主的にするものだと言われれば、それは正論だが、こちらも決して安くはない授業料を払っているわけで……と、思わず学生時代に単位がとれなかった講義を思い出して愚痴を書いたが、いずれにしても、シケプリは東大の期末試験には欠かせないものだ。

解説が特に丁寧で分かりやすいシケプリは「神シケプリ」と呼ばれ、クラスの世代を超えて代々受け継がれている。