「こまち2両とはやぶさ3両が連結したら何両になる?」

育児に関しては昔からあまりナーバスにならないようにしています。たとえば、ミルクの卒業も、トイレトレーニングもなかなかうまくいかなかったんですけど、学生たちとの飲み会で、「オレ、とりあえず、ミルクで!」って言う人はいないし、オムツをしている人もいません。うちの子もなんとかなるだろうと無理はさせませんでした。

現在も、小学校入学に向けた習い事や知育的なことはとくにしていません。4歳のとき、足し算ができるか確かめてみようと、好きな電車に絡めて「こまち2両とはやぶさ3両が連結したら何両になる?」と聞いてみたことがあったんです。

2018年4月21日、仙台駅に停車中の「はやぶさ」
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そのときに息子は、「はやぶさははやぶさ。こまちはこまちだよ」と答えたんです。ハッとさせられました。私たち大人は、数字だけを捉えて「5両」と思うけど、この子は具体的な新幹線をイメージしている。それって大切にしなきゃいけない感性だと思いました。

学生数や感染者数、死者数等々。数字でひとまとめにしがちだけど、そこには一人一人個性の異なる人がいると教えられたように思いました。

京急線を「2100形」と、山手線を「E235系」と型番で言う5歳児

息子がやっていることといえば、大好きな電車一筋。好きなら徹底的に極めてほしいと、電車に関する絵本や塗り絵、ドリル、DVDなどを与えています。その結果、息子は京急線のことは「2100形」、山手線のことは「E235系」と型番で言うほど、電車についてだけ異様に解像度が高い子供に育っています。

2019年8月3日、山手線E235系列車、東京駅にて
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これを無駄な知識と思う人もいるかもしれません。それよりも、九九や国名を覚えさせたほうが役に立つだろうという教育が、いまだに主流です。

でも、知識をインプットして、正確にアウトプットするだけの力なら、この先はAI(人工知能)に任せればいい。息子は電車を通じて、用途や機能の違いなど、「分類」を学んでいるのだと思っています。そうして身に付くスキルのほうが、はるかに意味があると信じています。