どれほど傍聴者が集まるのかと思っていたら

かつて、オウム事件で、麻原彰晃が法廷に初めて出たときは、数十枚の傍聴券に1万人近い人間が群がり、大変な騒ぎになった。

裁判所
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今回も、それに近い人が集まるのではないかと危惧したが、いくつかテレビクルーは来ていたが、人影はまばらである。場所を間違えたのかと不安になった。地裁の人間に聞くと、ここで間違いないという。

受付で、ナンバーが印字された紙のリストバンドと「傍聴希望者の方へ」という小さなパンフレットをもらう。ナンバーは201881623。何と2億台ではないか。やはり傍聴希望者はこれから雲霞の如く集まってくるに違いない。

お茶を飲むところがないので、歩いて「法曹会館」のロビーへ行った。スマホでKindle本を読みながら待つ。

12時に抽選発表。自慢ではないが、私はくじ運がまったくない。子どもの頃から、町内の商店街の福引でも当たったことがない。今回も外れた。

係員に聞くと、傍聴希望者は249人しか集まらず、倍率は9.6倍だったという。

太田に対する世間の関心度はその程度だったのかと、ぶつぶついいながら帰途についた。

「『裏口ネットワーク』を使って入学」と報道

翌日の各スポーツ紙はこの件を“それなり”に扱ってはいたが、女優・石原さとみの結婚発表の前には極めて影が薄かった。

ここからは、スポーツ紙が報じた“笑”法廷の様子を紹介しようと思うが、その前に、この事件のあらましに触れておきたい。

日大芸術学部は医学部を除いた日大の中の花形学部で、OBには深作欣二、森田芳光、三谷幸喜、林真理子など錚々たる人たちがいる。

だが、太田の高校時代の同級生が新潮に、「太田は割り算ができなかった」と語っている。事実、太田本人も算数に弱かったことは認め、ダンゴ屋でバイトをしていたとき、釣り銭の勘定ができず、客に怒られないように「なるべく多く渡していた」という。

そんな一人息子を溺愛し、心配した父親・三郎は、新潮によれば、「裏口ネットワーク」を使って日芸へ入れようとしたというのである。

新潮は、「日本を代表する指定暴力団の、有力親分の愛人芸者が産んだ娘がいて、そんなちょっとややこしい事情を抱えた人物と三郎氏はひょんなところから知遇を得た。そのコネを通じこのネットワークの元締めに辿り着いている。組織の力は極めて強く、『最も確実に入学できる道』」だったと報じている。