「一緒に自殺しよう」と自室におびき寄せて絞殺した疑い
自殺関連の事件といえば、神奈川県座間市のアパートで15歳~26歳の男女計9人を殺害したとして強盗・強制性交殺人罪などに問われた無職の白石隆浩被告(29)の裁判員裁判の初公判が9月30日、東京地裁立川支部で始まった。
白石被告は2017年10月に逮捕された。罪状認否で白石被告は「起訴状の通り、間違いありません」と述べたが、弁護側は「被害者はみな、被告に殺害されることを承諾していた」と承諾殺人罪の適用を主張し、被告の刑事責任能力についても争う姿勢を見せた。論告求刑は11月26日に、判決は12月15日に予定されている。
白石被告には2017年8月~10月にかけ、ツイッターなどのSNSを使って相談相手を装い、自殺願望の男女(女性8人、男性1人)に対して「一緒に自殺しよう」と自室におびき寄せて絞殺した疑いがある。女性に乱暴し、9人から現金を奪った疑いもある。
相談を装って、相手を騙して殺してしまう。到底、許しがたい犯行である。
「SNSに潜む危険が、改めて浮き彫りになった」
初公判に当たり、読売新聞(10月2日付)が社説で取り上げている。見出しは「座間事件初公判 SNS犯罪の抑止につなげよ」で、書き出しから「SNSに潜む危険が、改めて浮き彫りになったと言えよう。事件の教訓を、同様の犯罪の防止に生かさねばならない」と訴える。
ネット社会は便利さと危険性のある両刃の剣である。フェイスブックやツイッターなどのSNSを使う際は、頭に必ず入れなければいけない。
読売社説は主張する。
「検察側は冒頭陳述で、被告が『自殺願望のある女性なら言いなりにしやすい』と考え、自らも自殺志願者のように装って投稿を始めたと指摘した。金づるにならないと判断すると乱暴し、殺害して金を奪ったとしている」
「そうだとすれば、被害者の悩みや揺れる心情につけこんだ、許しがたい犯行である」
なぜ犠牲者たちは白石被告を頼ってしまったのだろうか。ほかに相談する相手はいなかったのか。白石被告の騙しのテクニックがうまかったのか。それともSNSという気軽さが事件を引き起こしたのだろうか。