わずか4カ月間に多くの芸能人の自殺報道があった

芸能人の自殺が相次いでいることも原因のひとつかもしれない。5月下旬以降、わずか4カ月余りの間に多くの芸能人や有名人が自ら命を絶った。女子プロレスラーの木村花さん、俳優の三浦春馬さんや藤木孝さん、竹内結子さんたちだ。短期間にこれだけ多くの著名人が自殺すると、「連鎖自殺」も起こりやすい。

自殺は決して格好の良いものではない。その遺体はいずれも無残でとても表現などできない。「あの俳優のように死ぬ方法もある」とは思わないことである。イメージと現実は違う。

※厚生労働省「令和元年中における自殺の状況」より抜粋
※厚生労働省「令和元年中における自殺の状況」より抜粋

9月28日の産経新聞が「コロナと自殺増 きめ細かな相談と支援を」という見出しを付けた社説を書いている。

冒頭で「自殺者の数が増加する兆しをみせている。かけがえのない命を守るため警戒を強めるべきだ」と主張し、こう続ける。

「自殺には、失業や倒産、多重債務、過労や健康問題などの要因が複雑に絡み合っている。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、人々に精神的なストレスも根強い」
「また一般的に景気が悪いときに自殺は増えるとされる。コロナ禍で苦しい経済状況が続き、さらなる自殺者増も心配される。官民挙げ、きめ細かな対策に心を配るときである」

特に女性の自殺が前年8月と比べ約4割の増加で顕著

産経社説はさらに主張する。

「特に女性の自殺が前年8月と比べ約4割の増加で、顕著なのが気がかりである」
「女性の自殺の増加は、雇用不安が最初に表面化した可能性も否定できない。非正規雇用が多く、景気悪化の中で、職を失う現実がある。単身や母子世帯など生活基盤が脆弱な世帯には、さらなる目配りが必要である」

社会のひずみは立場の弱い人々の間に出てくる。それゆえ女性の自殺が増えるのだ。産経社説の指摘は鋭い。

産経社説は最後にこう訴える。

「新型コロナの感染拡大が続き、すでに半年以上、多くの人が他人と接することを避け、家に引きこもるように暮らしている」
「こんなときだからこそ、友人や知人、隣人同士で声をかけあったり、いたわったりする心の余裕を持ちたい。それが、相手の思い詰めた心に風を吹き込むこともあるだろう」

産経社説にしては優しさが際立つ書きぶりであるが、その主張は理解できる。