勤務医の給料は「都会<田舎」「大病院<中小病院」「有名病院<無名病院」
「本フリー」と「裏フリー」も大違い
このフリーランス医師には「本フリー」と「裏フリー」に分類できる。
「本フリー」とは大門未知子らのように、特定の勤め先を持たず、契約に応じた報酬を得るスタイルのフリーランスである。一方、「裏フリー」とは病院の勤務医をしながら、空き時間や休日に裏でアルバイトして稼ぐスタイルである。
企業の給与相場は、一般に「都会>田舎」「大企業>中小企業」「有名企業>無名企業」だろう。だが、あまり知られていないが、勤務医のそれは真逆だ。「都会<田舎」「大病院<中小病院」「有名病院<無名病院」である。
よって、都会の大学病院や有名病院の医師は、主勤務先のブランド力を生かして、中小の病院やクリニックなどで高額アルバイトをする「裏フリー」であることが珍しくない。
時給1万円のおいしいバイトが消滅してしまった
コロナ禍の受診控えで医者余り
コロナ禍に見舞われた2020年春。読者の中には、日本中の病院ですべての医療従事者がコロナ診療に奔走していたように感じている人もいるだろう。しかし実際には、コロナ関連業務に対応する「多忙なひと握りの医師」と、「暇で困惑する多数の医師」に分かれた。
高齢者を中心に医療機関の受診控えが進み、、救急車の出動回数も激減。健康診断や美容などの「不要不急の診療」は休止となり、生死にかかわらない手術は延期となった。この結果、多くの病院は経営が悪化。前述した「本フリー」「裏フリー」を含む非常勤(バイト)医師との契約解除が急増した。
現在、「健康診断」「人間ドック」「カウンセリング」などのロースキル系のおいしいアルバイトは激減し、単価も下がったままだ(2019年は時給1時間超の案件が多かったが、2020年の時給は6000~7000円程度に低下)。医師紹介業者のウェブサイトでバイト案件をチェックしていると、前年度の半額以下でも数分間で成約している。すぐに成約しない案件は「発熱外来」「PCR検査センター立ち上げ」である。