テレワーク浸透で「副業・兼業」しやすくなったが……
2020年5月、日本経済団体連合会は、「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公開しました。この指針の特徴の大きなひとつとして、企業に対して、オンラインなどを活用した働き方を推奨している点が挙げられます。
今後、テレワークが進むことによって、働く時間や自由度が高まり、副業・兼業をしやすくなることが予想されます。以前から、プログラミングやデザインなど、特殊なスキルをもった人であれば、副業・兼業できる人も多かったのではないでしょうか。しかし、会社に行って仕事をするという働き方を前提としたビジネス職(営業、財務、経理、総務、広報などの部門)として働く方々にとっては、副業・兼業が解禁されても、ハードルの高さを感じる方も多いのではないでしょうか。
本稿では、キャリアアップしたい個人と、ベンチャー/スタートアップをはじめとした企業を1to1でつなぐ、副業・兼業のマッチングサービスを提供している企業に取材し、ビジネス職の方が、副業・兼業を行うために必要なスキルについて考えます。
副業・兼業の受け入れ先が少ない現状
経済産業省「平成30年度兼業・副業による人材の受け入れニーズ調査報告書」(※以下、「経済産業省の調査」)によれば、副業・兼業の解禁を行っている企業は、受け入れ(他社従業員または経営者の兼業・副業先として受け入れ)、送り出し(自社従業員が他企業で兼業・副業を実施)ともに、わずか約1割にとどまっています。
※関東に所在する大企業、中小企業計8000社が対象。
副業・兼業の受け入れに反対する理由は何なのでしょうか。
同調査によれば、大企業、中小企業ともに、以下の内容が多くなっています。
「法務管理上の問題(労働時間、給与管理など)」(大企業68.8%、中小企業35.3%)
「事務管理が煩雑になる(労務管理など)」(大企業53.8%、中小企業37.7%)
「業務上の秘密を保持したい」(大企業41.9%、中小企業43.9%)
また、大企業に比べて中小企業に多い受け入れ反対の理由は、
「企業秩序を乱す」(大企業8.6%、中小企業26.1%)
「どういう人材がくるかわからない」(大企業7.5%、中小企業20.4%)
でした。中小企業では、人間関係への悪影響を心配しているようです。