8月24日に安倍首相は、大叔父・佐藤栄作を超えて首相在任記録が歴代最長になった。長いだけで何もレガシーのなかった不思議な政権として長く歴史に刻まれるであろう。だが、朝日新聞(8月24日付)によると、
「歴史的な記録更新にも、いまの首相官邸内にお祝いムードはない。最近になって首相が出席する予定だった25日の自民党役員会は中止。27日に予定されていた首相と党幹部らによる在職記録更新の『お祝い会』も延期された。首相の体調不良に配慮したのではないかとの見方が広がるが、政権幹部は『首相にとっては(記録更新は)単なる通過点。お祭り騒ぎをしているときではない』と述べるにとどめた」
お祝いどころではない。記録を更新したその日に慶應病院に再検査のために“入院”してしまったのである。
「後は麻生さんに…」第1次政権時と酷似している
首相の健康不安問題で、にわかにポスト安倍争いが過熱していると報じられている。
新潮によれば、慶應病院の検査の前々日、安倍は私邸に麻生太郎を呼び、そこで、「自分の身に何かあったとき、後は麻生さんにお任せしたい」と伝えたと報じている。
この情報は、麻生側から漏れたのではないか。ポストによれば、前回の第1次安倍政権のときも、安倍は退陣の2日前に当時幹事長だった麻生に、辞任するつもりだと伝えたという。
事前に情報を得た麻生派は、フライングで総裁選の準備を始めてしまったのだ。そのことは、麻生自らが「2日前から聞いていた」と記者に漏らしたことで発覚し、党内から批判を浴びたのだ。今回は、「安倍は、入院でもすれば、来年の任期までオレに任すといっている」と、党内に触れ回りたかったのではないか。
安倍から麻生というバトンタッチは、最悪から極めて最悪へと移行するだけで、国民がさらに不幸になるだけである。
だが、安倍は後継者を育てなかったため、麻生はダメでも、他にこれという人材がいるわけではない。
ここにこの国の最大の不幸の大本がある。
吐血情報をリークした人間の狙いとは
さて、本稿の主旨である、FLASHに安倍首相の吐血情報をリークした人物の意図について、私の推測を述べさせていただこう。
まずいえるのは、安倍の健康情報をリークして利を得る人間は誰かということである。いまのところポスト安倍候補に挙がっているのは、岸田文雄、菅義偉、石破茂、河野太郎というところであるが、安倍が辞任しても、漁夫の利を得る人間はいない。
いるとすれば、今一度首相に返り咲いて、第1次のときの屈辱を晴らしたいと考えている麻生だろう。私も、その可能性が高いような気はする。