いまどきの若手を指導するときには、どんな点に注意するべきか。心理学博士の榎本博明氏は、「彼らは叱られ慣れておらず傷付きやすい。『これじゃダメ』ではなく『こうしたらどうか』という提案型の口調で指導するといい」という――。
※本稿は、榎本博明『ビジネス心理学大全』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
すぐに反発したり落ち込んだりする
自分としては部下に早く戦力になってほしくて、成長を促すべく厳しく指導しているのですが、「ダメ出しばかり」と反発する部下が多いと聞きます。パワハラと言われても厄介だし、辞められても管理能力に問題ありとみなされるから、気をつけるようにと、他の部署の知人から言われました。そうは言われても、仕事面でまだまだ未熟な部下が多く、改善すべき点は伝えないといけないし、どんなことに気をつけたらいいでしょうか?
戦力として使うためにも、本人の成長のためにも、至らない点、改善すべき点を指摘しなければならないのだけれど、最近の若手はすぐに反発したり落ち込んだりするので、非常に指導がしにくいというのは、どの職場でも管理職が口にする悩みです。
経営者や管理職の人たちが、仕事の質を上げるために必要な注意をするのをなぜ躊躇しなければならないのか、今の時代はおかしいのではないかといった思いに駆られるのもわかります。自分たちが若手だった頃は、もっと厳しく注意されても、それを素直に受け入れて、自分の仕事のやり方を修正し、成長してきたので、今の若手の気持ちが理解できないのでしょう。
でも、そういう時代になっているのが現実なので、今の若手の気持ちも理解し、そうした心理を踏まえて、戦力として育てていく必要があります。そこで、まずは今どきの若手の心理から見ていくことにしましょう。