米国にとって韓国はかなり困った国
反日姿勢を強めるだけでなく、米国と対立する中国、北朝鮮に接近する韓国に対して、国際世論は懸念を強めている。すでにドイツは韓国のG7サミット参加に明確に反対した。それに加えて、米国も文大統領への懸念を強めている。端的に、米国にとって韓国はかなり困った国と化している。
米国が懸念しているのは、文政権が米中の間でどちらつかずの姿勢をとり続けた結果、極東地域での覇権に影響が出ることだ。特に、韓国がいまだに日韓のGSOMIA(ジーソミア=軍事情報包括保護協定)の破棄を示唆し続けていることは無視できない。日韓GSOMIAの破棄は敵(中国、ロシア、北朝鮮)を利することにつながる。
米国が世界の覇権国の地位を維持するために中露を勢いづかせることはあってはならない。オバマ前政権が中国の台頭を放置したことへの反省もあり、現在、米国はポンペオ国務長官が先頭に立って対中包囲網の整備に注力している。
元徴用工問題をめぐるわが国の報復措置への対抗としてGSOMIA破棄をちらつかせる文大統領は自国を取り巻く国際情勢を十分に理解できていないように見える。中国もロシアも韓国のことを気にしてはいない。文政権の政策は結果的に自分で自分の首を絞めることにつながるだろう。
文大統領が国際社会の常識を無視すればするほど、米国にとってわが国の重要性は増す。元徴用工問題に関して、米国は日韓請求権協定に基づいて解決済みとの立場をとっている。
今のところ、米国はわが国が韓国への報復措置を準備していることを静観している。それは、米国が極東地域における覇権維持のためにわが国を一段と重視し始めたことを意味する。
それに加えて、7月29日のWTO会合にて米国は、わが国の輸出管理体制を批判する韓国の主張を聞き入れなかった。米国は、わが国が特定品目の対韓輸出手続きを厳格化したことは国際社会への責任を果たす当然の判断であり、日本だけがその是非を判断できると明確に述べた。米国が同盟国に対して明確に反対の意を唱えるのは珍しい。
日本は韓国の異常な反日をうまく使えばいい
文大統領は米中などに対してうまく立ち回り、国際社会における韓国の地位向上に貢献していると主張する。しかし、実態は逆とみるべきだ。文大統領が身勝手な主張をとるほどに、国際社会における韓国のクレジットは低下する。それは、わが国が今後の対韓政策を考える上で重要だ。
今のところ、文大統領は元徴用工問題に関する司法判断を尊重する姿勢を貫いており、一歩も引く気はないようだ。その一方で、文政権の経済運営や反日と並ぶ重要政策である北朝鮮との宥和・統一を目指す政策はうまくいかなくなっている。
文氏が世論の後押しを取り付けるために、反日強化以外に思い当たる方策は見当たらない。今後、文大統領がわが国への批判を強め、これまで以上に激烈で異常な反日姿勢を示す可能性は高い。
わが国はその展開をうまく使って、韓国の身勝手さを国際社会がよりはっきりと認識できる環境を整えることに注力すればよい。重要なことは、わが国が国際世論を味方につけることだ。
わが国は1つでも多くの国からわが国の主張に関する理解と支持を獲得することだ。それが経済や外交面を中心に韓国への報復措置を策定し、発動する万全の体制を整えることにつながる。
その際に重要なことは、安全保障面では米国との関係を基礎にしつつ、経済、外交面で欧州やアジア新興国との関係を強化することだ。