人間は助け合うことで生き残ってきた
チンパンジーの階層集団では、食糧が減ってきたら下位の個体から割を食ってきました。一方、人類の協力集団では公平感が強く、食糧が減ってきたときに強い者だけが生き残るとはなりにくく、少ない食糧を分け合い、共倒れになる危険性が高まります。この点から人類の協力集団は危機に弱いと指摘できます。
実際のところ、現代に生きる私たちは皆、数十万年前にアフリカに生きていたある一つの集団の末裔であることが、遺伝情報の解析からわかっています。
ほかの集団は、十分な協力ができなかったり知恵が生み出せなかったりと、食糧難に対応できず、すべて滅びてしまったというわけです。私たちは、その唯一の祖先集団が培った貴重な「心のモジュール群」を備えて生まれてきているのです。
協力する心の働きは、よいことばかりではありません。現代社会に特有の悩みももたらします。
「気の合う仲間がいない」は転職の理由になるか
「職場に気の合う仲間がいない。転職したほうがいいのかな?」。
職場での昼休み、休憩室に集まった社員は皆でお弁当を広げ、社内の噂話で盛り上がっている。でも、それに私はなじめない。話を合わせるのも面倒だし、そんな昼休みだからリフレッシュもできない。
一人で昼食をとるのは悲しいのかもしれませんが、利点もあります。職場の同僚にわずらわされない点や、社内の噂に惑わされない点です。人類が長年の遺伝から学んだホットハートから生じるネガティブな気持ちを整理してみましょう。それには理性的に判断するクールマインドを発揮して、あなたにとって「職場とはどのような意味を持つ場所か」をかえりみる必要があります。
そのためには、あなたの職場が協力集団なのかを判断することがまず必要です。