思い込みからの脱却が経済復活の鍵となる

IMFが新型感染症による影響を「世界恐慌以降最悪の景気後退になる」と予測しています。そこで世界恐慌と復活の道筋を知ることで、コロナ危機から立ち直る鍵を探りたいと思います。

世界恐慌(1929年)が起こった原因は金本位制にありました。金本位制では、金の保有量までしか通貨を発行できないため、金の採掘量が増えない限り、お金を増やすことができません。

主要国は第一次大戦(1914~18年)で金本位制を一時離脱して戦費を調達しましたが、終戦から10年が経って元に戻そうとした際に深刻なデフレを招いてしまいました。各国が保有する金と市中に出回る大量のお金の量が釣り合わないことが明白だったからです。

これに気づいて金本位制を再離脱した国から、経済が復興しました。日本では高橋是清が31年に金本位制を停止して管理通貨体制に移行、日銀に公債を引き受けさせるなどの積極財政で景気回復を果たしたのです。「貨幣は金の裏付けを持つもの」という思い込みから人々の意識が変わるまでには相当の年月を要しました。

対して現在我々が直面している危機は、原因が新型ウイルスであることは明らかです。経済復活・景気回復には人類がこれを克服できるかどうかが最初のハードルになるでしょう。