会社のものをヘタに使うと「転職前にクビ!」も大あり

図:会社側が立証すれば懲戒処分に
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図:会社側が立証すれば懲戒処分に

転職活動をしていることが勤め先の会社に発覚した場合、会社側はそれだけをもって解雇や懲戒処分を行うことはできない。職業選択の自由・退職の自由があり、仮に就業規則に「転職活動の禁止」を定めても裁判では無効とされる。

せっかく育てた社員が他社に転職するとなると会社も快く思わないし、同業他社に引き抜かれる場合は敵対的行為とみなし、妨害してくるかもしれない。

しかし、転職を阻止するために、転職先企業に対して「成績がひどい」「懲戒の対象になっている」などと事実に反する誹謗中傷を行った場合、名誉毀損(民法710条)にあたる場合もある。また、それによって転職活動を妨害したとなれば、職業選択の自由を侵害したことで不法行為(同709条)になる可能性が高い。

そこまでしないまでも、社内秩序を乱すような行為があったかどうかや、会社に不利益をもたらしたかどうかという点を突いてくる場合も想定される。つまり勤務時間中の行動を問題とするケースである。

少なくとも所定労働時間内もしくは会社に命じられた残業中は、誠実に仕事を行う義務・責任がある。その間に私的なことに時間を費やしていたとなると職務専念義務違反になり、それが立証されると就業規則に従った懲戒処分の対象になるだろう。

もちろん、1分1秒たりとも休めないというわけではなく、トイレにも行くし、タバコを吸う時間ぐらいは認められる。建前だけ強調して厳しい処分を下せば、懲戒権の濫用になるだろう(労働契約法15条)。

会社によっては所定労働時間内のプライベートな電話は取り次がないというところもあれば、多少の私的メールは大目に見るところもあるなど、どこまで許されるかは職場慣行や働くスタイルによって異なるため一般論としての判断は難しい。