世界経済の不安定感が高まっていく

一方、悪いシナリオは、ワクチンの供給が遅れる、もしくは副作用が見つかるようなケースです。そこに新型コロナウイルスの感染の第2波、第3波が来れば、経済活動は阻害されます。さらに「米中貿易摩擦の激化」「中国の成長の限界」などのマイナス要因がいくつも重なると、世界経済の不安定感が高まっていくでしょう。そうなると期待先行で上がっている株が売られて、株式保有比率の高いアメリカ、欧州の経済はまた大きな打撃を受けます。新興国にも飛び火すれば、生産活動も消費もできなくなり、世界の貿易取引も減少していきます。

もうひとつ大きな問題があります。金融システム不安が起こることです。

コロナショックで世界全体の原油需要が落ち込み、原油価格が下落しました。それによって経営破綻に追い込まれるアメリカのシェールオイル企業が増加すると思われます。それらの多くはジャンク債(信用力の低い社債)を発行して資金調達を行っているため、ジャンク債を使った派生商品であるローン担保証券(CLО)の価値が急落し、それを保有してきた金融機関の経営不安が高まる可能性があるのです。

今は米連邦準備制度理事会(FRB)や各国の中央銀行がお金をたくさん出して、金融システム不安にならないように防いでいます。しかし、デフォルトが起きてしまえば、金融市場が大崩れして、実体経済と金融経済がスパイラル的にどんどん悪くなっていくでしょう。そうなると最悪の場合、2桁マイナスになる可能性すらあります。リーマンショックの後、経済が元に戻るのに約3年かかりました。そのような事態にならないとは誰も言い切れません。

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