鳴りやまない、義父からの「ビデオ電話」

【CASE3】「オンライン帰省」により夫婦関係が悪化

夫婦や親子の間で合意のもと「夏休みの帰省はしない」と決めたにもかかわらず、その後になってトラブルに発展するケースもある。

「テレビで見て知ったらしく、『帰ってくるのが難しいなら、オンライン帰省という方法ならどうだい?』と義父から電話がかかってきたのがはじまりでした」と話すY美さん(42歳)。その時は軽い調子で「それなら無料だし、夏休みじゃなくても、いつでもおしゃべりしたい時に気軽に話せていいんじゃないですか?」と返事をしたという。義父は、「無料」「いつでも話せる」というワードに喜び、興奮気味に電話を切ったとのこと。

その後、何日もたたないうちにY美さんは義父からLINEに招待された。拒む理由も見つからないまま、何度かメッセージをやりとりしたところ、今度はビデオ電話がかかってくるようになったという。Y美さんいわく、「義父は80代。去年、ガラケーからスマホに買い替えたことは聞いていましたが、まさかそこまで使いこなせるとは思っていなかったんです」。義父は、地元で開催しているスマホの使い方教室に出席し、LINEの活用法をマスターしていたのだった。

「無料だから使わないのはもったいない」「朝起きてすぐにおしゃべりができて楽しい」と言って、2日とあけずに早朝や昼休み、夕食の支度の時など構わずにビデオ電話をかけてくるようになった義父。はじめのうちは、Y美さんも我慢して長電話に付き合っていたものの、さすがにストレスになりはじめた。

そこで夫に「悪いとは思うけれど、いい加減、お義父さんにビデオ電話をかけてくるのを控えてもらえると助かる」とやんわり伝えたところ、夫からは「帰省もせず、電話にも出たくないほどオレの父親のことが煩わしいのかよ。冷たい女だな」と非難されたY美さん。「こんなことなら、たった数日我慢して帰省したほうがマシだったかもしれません」と嘆く。

コロナ禍での「帰省トラブル」を避ける2つのポイント

妻にとって夫の実家への帰省は、相当なストレスがかかるイベントのひとつ。今年はコロナの影響で帰省しない夫婦や家族が増えることで、一見、妻にかかるストレスの原因も解消できたように思えるもの。ところが、「帰省をしない=夫の実家への気遣いをしなくていい」とは、妻側はとらえていないことが多い。たとえ帰省をしなくても、夫の実家に対して気兼ねする気持ちや帰省しないことへの罪悪感を抱いている妻も大勢いる。

コロナ禍での夏休みは誰にとっても初めての経験となる。正解がわからないなかでの選択は難しく感じられるかもしれないが、迷った時は「思いやりの気持ちを持って接すること」と「普段よりマメにコミュニケーションをとること」が大事なポイントになる。どちらも基本的なことではあるものの、相手の心の動きに敏感になることで不要なトラブルを招くことを避けられるなら、それに越したことはないからだ。

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