4代目から製法を刷新

「プライドポテト」が一般的なポテトチップスと大きく違う点がある。製法だ。普通のポテトチップスは、スライスしたジャガイモを揚げる前に白いデンプン質をお湯で洗い流す。デンプンには糖分が含まれおり、揚げた際に焦げやすくなるためだ。

しかしプライドポテトは洗い流さない。そのため甘みやうまみがそのまま残る。となると、焦げないようにどうやって揚げているのか。

「3つの温度帯の油で揚げるんです。まず高温でごく短時間。これによってチップスの周りをコーティングします。次に低温で中までじわーっと熱を入れる。最後に中温でパリッとした食感に仕上げます」(マーケティング本部 マーケティング部第3課 課長代理 下阪紘平氏)

プライドポテトの製法がこのような工程になったのは4代目からだが、初代から製法には十分こだわっていた。つまり初代の時点から「モノは良かった」が、売り上げが追いついていなかったのだ。5代目でパッケージやフレーバーを見直すことによって、ようやく真の実力が多くの消費者に知られることになった、とも言える。

こうした変更が実を結び、リニューアル初月の出荷数は前年同月比512%という驚異的な伸びを記録した。

「4カ月で売り上げ20億円を達成しました。すでに2500万袋を販売しています」(野間氏)

ポテトチップス業界では「年間売上20億円でヒット」と言われている。これはメガヒットといっていい結果だろう。

平均売価が10年近く下がり続けていた

振り返ると、2017年に「プライドポテト」が誕生した背景には、ポテトチップス平均売価の下落があった。

「もともとポテトチップスは平均売価が100円前後で推移していましたが、2016年時点で10年近く下がり続けていました。各社の価格競争が熾烈化し、80円以下の商品構成比が高くなっていたんです。にもかかわらず、販売数は横ばい。つまり売り上げ自体は下がっていました。このままでは、ポテトチップスの商品構成比が高い弊社としては厳しい事態を招くと考え、価格が高くても商品価値を感じていただける商品として開発したのが、『プライドポテト』でした」(野間氏)