不祥事を起こした芸能人はテレビから消し去るべきなのか。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は「7月6日にフジテレビで放送された『やまとなでしこ 20周年特別編』では、2年6カ月の実刑判決を受けた押尾学さんの出演シーンに注目が集まった。出演シーンは数秒間だったが、カットしなかった判断は尊重されるべきだ」という――。
TBSドラマ「夢で逢いましょう」制作発表会見
写真=時事通信フォト
TBSドラマ「夢で逢いましょう」制作発表会見=2005年4月4日、東京・目黒区のウエスティンホテル

「やまとなでしこ」再放送で注目された押尾学の処遇

7月6日午後9時からフジテレビ系で放送された「やまとなでしこ 20周年特別編」。再放送の話題とともに、かつて麻薬取締法違反罪や保護責任者遺棄罪で有罪判決を受けた元俳優・押尾学さんの出演シーンが放送されるのかに注目が集まった。

フジテレビは押尾さんの出演シーンは「適切に編集」とメディアの取材に答えていた。6日に放送された特別編は全11話のおよそ半分を約2時間に圧縮。EPG(電子番組表)の出演者の欄には押尾さんの名前がなかったため、私は「ひょっとして出演シーンはカットされたのでは」と思っていた。しかし、いい意味でフジテレビに裏切られた。

フジテレビビルを持つお台場島のアクアシティショッピングセンター
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結局、押尾さんは私が確認できた限りでは、冒頭に近い「合コン」のシーンで1度登場した(セリフらしいセリフはなかった)。また、今回新たに作成されたと思われるエンドロールのテロップにも、しっかりと名前がクレジットされていた。今回フジテレビは「押尾学さんを消さずに、許した」と考えて良いだろう。

そもそも、なぜ不祥事を起こした芸能人をテレビから「消す」必要があるのだろうか? 消す基準や、許される基準はあるのだろうか。筆者は約30年、この業界でテレビ制作に携わってきたが、実はこの「答え」はハッキリしない。それが今のテレビ業界の現実だ。