その楽木氏は言う。
「伊達市の人口は約3万8000人。北海道で唯一、人口が増えている町です。伊達に移住してきた人の数は約4000人ともいわれている。北海道にしては温暖な町で雪も少なく、『北の湘南』とも呼ばれている。ゴルフ場、スキー場は町から近いし、来年サミットが開かれる洞爺湖温泉や登別温泉も車で小1時間の距離。食べものはウニ、イカ、近海魚と噴火湾の海の幸がいっぱいです。
もうひとつの魅力は開放的な雰囲気でしょう。なにしろ明治以降に移住してきた人たちがつくったところですから。『先祖代々の墓を守る』なんて気質はないんです。ですから都会からやってきた人たちも簡単に溶け込める環境なんです」
橋本さんが続ける。
「楽木さんの言う通り、北海道の人はオープンです。僕はほかの田舎も見たけれど、やはり保守的。近所付き合いが大変だと思った。
伊達市内では5万円もあれば庭付きの一戸建てが借りられる。しかし、僕はあえてゴルフ場の敷地内にあるコテージに暮らすことにしました。住む期間は5月から11月まで。冬は東京の家に戻ります。
もう5年くらい、夫婦ともに夏は伊達、冬は東京の生活です。コテージはメゾネットでベッドは6つ。家賃は月26万円。安くはありません。でも、掃除もやってくれるし、シーツも変えてくれる。ホテル暮らしのようなものです。ゴルフ場は目の前だし、食事だってクラブハウスで食べられる。病気で倒れても誰か従業員がいるから安心です。何よりもいいのは顔見知りになった地元の人たちが訪ねてきてくれること。ゴルフをしに来たついでに『こんにちは』と遊びに来る。これが町中の一軒家に住んでいたら、相手も遠慮してなかなか遊びに来てくれないでしょう。移住した先でもっともつらいのは話す相手がいないことです」