ヨーロッパの「連帯」がGAFAと違う道筋を見つける指針に

【尾原】そうなんです。例えば自動運転カーが現れたとき、事故を起こしたらメーカーが責任を負うということを、ヨーロッパは世界に先駆けて宣言した。そこに作為的な匂いはしないんですよね。

小林 弘人『After GAFA』(KADOKAWA)
小林 弘人『After GAFA』(KADOKAWA)

その観点でGAFAを見ると、グーグルはいつも本気なんです。情報を提供して世界中の人々を幸福にしたいと。しかしフェイスブックの場合、CEOのマーク・ザッカーバーグは本気ですが、COOのシェリル・サンドバーグはちょっと作為的な感じがする(笑)。邪推かもしれませんが、だからみんなに叩かれやすいのかなと個人的に思うこともあります。

【小林】ヨーロッパの人と話していつも思うのは、彼らの大きなテーマが「連帯」であるということです。もともとわかり合えない隣人どうしが、どうやって仲良くするか。そのため、コモンズが必要です。人類が否定できないそのコモンズの1つがSDGsですが、これは今のところGAFAと違う道筋を見つける指針としても有効かと思います。

【尾原】まったく違う民族が、隣どうしでせめぎ合っているわけですからね。歴史の記憶としても、いつ侵略されるかわからないという恐怖感がある。「本気」になるのも当然ですよね。

(構成=島田栄昭 撮影=小野田陽一)
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