多目的トイレから男女4人が出てきた
私はこの2週間、多目的トイレを中心に清掃にあたる方々に話を聞いた。みな口をそろえるのは、客のトイレの使い方が「すごい」ということだ。私は大山さんに正直に話す。とんでもない話はないかと。
「そうね、男女4人が出てきたことはあるよ。男3人と女1人ね」
なんと4P!?
「それは知らないけど楽しそうに出てきたよ。酔っ払ってたけどね、男はみんな若い子だったね、女の方は太ってるおばちゃんだったけど、なにしてたんだろうね、使用後はきれいだったし」
4Pと早合点してしまったが何なのだろう。いずれにせよ不気味な話だ。
「そのおばちゃんに1万円もらったよ。コロナだってのに景気のいい人だった。口止め料かね。ま、あんたに話しちゃってるけどね」
大山さんはひょうひょうとして愉快な人だ。新宿の会社に勤めていたが早期退職、年金のつなぎに清掃のパートを始めたという。
「そうね、いきなりコロナで参ったよ。年寄りだから死んじゃうかもだけど、仕事ないよりいいかなと前向きに考えてるよ」
おむつ台に舟盛りの舟が置いてあった話
生涯現役社会と言えば聞こえはいいが、このコロナ禍でもっとも危険なはずの高齢者も清掃や警備の最前線で働いている。この6月にも高齢のパート清掃員がコロナウイルスに感染している。
「注射器は落ちてたね。別に珍しくないらしいけど、俺はびっくりだよ。足震えたよ」
それはびっくりに決まってる。糖尿病のインスリン注射とかじゃないのか。でなければ犯罪だ。警察はどうだったのか。
「いや、それがでっかい注射器なんだよ。すごくでかいの。ジュースの缶くらいのやつ」
ジュースの缶とは昔のストロー缶くらいということか。それはたぶん犯罪ではない。変なプレイに使ったということか。正直、あまりに内容がブッ飛びすぎて困る。
「おむつ台に舟盛りの船が置いてあったことがあったね、どーんと舟盛りの舟。舟だけで刺し身はのってなかったけど、酔っ払って持って来ちゃったのかね」