中国との「板挟み状態」をどうする?

中国は中英共同声明によって、黙っていても返還から50年後の2047年には「香港の土地」を取り込むことができる。これに対し、各国の対中関係を巡る動きは、香港問題はもとより、新型コロナウイルス拡散の責任を問いたい、あるいは貿易分野で米中貿易紛争に振り回される事態にある。英国ももちろん例外ではない。

しかし、同盟関係から考えてアメリカ側に付くべき英国だが、目下「中間財と消費財の輸入」と「完成品の対中輸出」において中国に過度に依存している。つまり米中両国の板挟み状態にあり、この点では産業の過度な中国依存を起こしている日本とよく似ている。

さらに、金融市場の面でも中国依存的な要素がある。『とうとうアメリカも介入した「中国VS香港」で問われるイギリスの本気度』(6月13日、PRESIDENT Online)で述べたように、返還以前からある香港の主要2行はロンドンに本社を持ち、こうした機関が「オフショア人民元」の取引を進めている。さらに中国の国営金融機関が積極的に資金調達をロンドンの金融街・シティーを舞台に行っている――などの背景がある。つまり、人権問題を切り取って「NoはNo」「ダメなものはダメ」と中国にぶつける一本調子だけで済ませられない。

ロンドンの金融街・シティーにある中国銀行。イングランド銀行の真横という一等地に拠点を構える
筆者撮影
ロンドンの金融街・シティーにある中国銀行。イングランド銀行の真横という一等地に拠点を構える

「自国パスポートの発給」という奇策を繰り出したジョンソン首相。内憂外患の中、どのような舵取りを進めていくのだろうか。

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