香港市民の「大量移住」に備えて…

英国内務省の資料によると、返還前日までに生まれた人々は約290万人で、「これらの人々はBNOを取る資格がある」と明らかにしている。ただ、実際に今もBNOを保有している香港市民は全人口754万人のうち、約35万人にとどまる。

ちなみに、返還後の香港には「中華人民共和国香港特別行政区(HKSAR, China)」というパスポートがあり、希望する香港市民に発給している。これは本土国民が持つパスポートとは効力が異なり、ビザなしで158カ国に行ける(本土パスポートでは、ビザなしもしくは到着時ビザ取得で70カ国)。また、BNOでは現在もなお119カ国にビザなしで行ける。

こうしたBNOの効力の変更について、ジョンソン首相は「史上最大規模の移民規則の変更」と評している。

香港からの脱出を考えたいこうした人々を後押しするに当たり、ジョンソン首相の姿勢は大いに励みになるだろう。ただ、香港の市民活動に参加している主力層である「1997年以降生まれの若い人たち」への直接的な恩恵になっていないのが残念だが、中国が異議を唱えているところからして、一定の圧力にはなり得ているのだろう。

多くの香港市民が長年住み続けている街を捨てる動きに備え、機密情報に関する同盟「ファイブ・アイズ(正式名称:諜報協定UKUSA)」を構成する5カ国(イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)が今後の対応を協議中と伝えられている。香港脱出を「exodus(エクソダス)=大量移住」と表現している英国紙さえある。

ジョンソン首相はもともと香港好き

ジョンソン首相の「香港フリークぶり」は以前から知られている。1964年6月出生と干支では辰年生まれで、ロンドン市長だった同氏が48歳になる2012年(たまたまロンドン五輪の年)の旧正月には「自分の生まれ干支である辰年の新年」を祝うスピーチを発表。最後に香港の公用語・広東語で「恭禧發財(あけましておめでとう)」と結ぶという驚きの対応をした。

その後も「ロンドンにも香港のような海上空港を作りたい」と現地を訪れたりと、「香港好き」を感じさせるエピソードも多い。