私がすすめる名作絵本

ではどんな絵本を読めばいいのでしょうか? 別にルールはありません。ロングセラーの定番の絵本でも、本屋で目に入ったおもしろそうなものでもOKです。本の世界は無限に広がっています。お話のなかに入っていくことで、お子さんの心は育っていくでしょう。

私がすすめる絵本は次の3冊です。

さっちゃんのまほうのて』(偕成社)
はせがわくんきらいや』(復刊ドットコム)
すずちゃんののうみそ』(岩崎書店)

これらの本はすべて障害を持った子どもを描いた絵本です。親にとってもっとも説明が難しいテーマですが、子どもが思いやりを持った子に育っていくためにとても大事なことが詰まっています。この世のなかにはいろいろな子がいて、それぞれみんなが仲間だということを分かってもらえるかもしれません。

年長さんから小学生になるころには、いのちの大切さを描いた絵本がよいでしょう。

わたしはいまとてもしあわせです』(ポプラ社)
うさぎのユック』(金の星社)

病気になっても家族の絆に感謝する子どもの気持ち、懸命に生きるいのちの素晴らしさが描かれています。

読書の入り口は漫画でも構わない

そしてお子さんが小学校2~3年生になったら、ぜひ本を読ませてください。入り口は漫画でも構いませんから、まず活字に慣れ、どんどん本を読むようにしてください。絵本と同じで、どんな作品でもOKです。たとえば、こういう作品はどうでしょうか。

かいけつゾロリ』シリーズ(ポプラ社)
若おかみは小学生!』シリーズ(講談社)
怪盗クイーン』シリーズ(講談社)

読書を積み重ねれば、日本語に強くなり、思考力が鍛えられ、心に栄養が注入されます。多くの本を読むと、世界が広がり、さまざまな感情や心の深さに触れることができます。こうした経験をしたお子さんは、感受性が豊かな子に育っていきます。

子どもたちに読み聞かせをする父親
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです

そして読書タイムをつくって毎日必ず読むことが大事です。これができるようになると、子どもには自立心も芽生えていきます。睡眠の前には、デジタルメディアのブルーライトで脳を疲れさせるより、読書に時間を使う方がはるかに発育にもいいでしょう。

小学生で読書の習慣がつくと、それは中学・高校と続いていきます。そのころには古典的な名作も読んでいるかもしれません。そうした読書体験は、子どもの心の育ちをうながすと同時に、子どもにとって自信になります。ドストエフスキーや大江健三郎を読んだ経験は、子どもにとっていつまでも消えない心の財産になります。

まずは「親の背中」を見せましょう

ではどうすればお子さんは本を読むようになるのでしょうか? それはお父さんやお母さんが読書をすることです。両親やきょうだいが全然読書をしないのに、その子だけが読書をするということは、あまりありません。