私の場合も兄と父親の影響が大きかったです。とくに兄は猛烈なスピードで本を読む人で、読み終わった本がどんどん本棚に増えていくのを見ているうちに、私も読書に興味を持つようになりました。
まずお父さん、お母さんがお手本を見せてください。親が読書好きであれば、子どもは絶対に本に興味を持ちます。親がスマホでツイッターやユーチューブばかり見ていたら、子どもに本を読めといってもまったく説得力がありません。
私は小学5年生までは子ども向けの本を読んでいました。大人の本を読むようになったのは小学6年生からです。創元推理文庫のヴァン・ダインとかE・S・ガードナーとかディクスン・カーなどですね。一発逆転の法廷ドラマや、不可能犯罪の謎解きにハラハラ、ドキドキしました。
お父さん、お母さんへのおすすめの1冊
ミステリー好きは中学生のころも持続し、高校生になって日本文学を読むようになりました。主に近代文学に熱中し、生きることの意味について考えたりしました。ノンフィクションのおもしろさを知り、ルポルタージュや評論を中心に読みあさったのは大学生のころです。
こんなふうにいろんなジャンルを渡り歩いてきたので、目下の悩みは本の整理です。大量の本に囲まれた生活をしてきたので、子どもたちも自然と本を手に取るようになりました。私の二人の子どもも読書が大好きです。
これまであまり読書の習慣がなかったお父さん、お母さんは育児をきっかけに親子で本を読んではどうでしょうか。必ず人生が豊かになります。お父さん、お母さんにも、1冊本をすすめましょう。
『クシュラの奇跡140冊の絵本との日々』(のら書店)
重い障害を持った子に、両親が絵本の読み聞かせをすることで、子どもが奇跡の成長を遂げていった記録です。たくさんの良質な絵本の紹介にもなっています。
本を読むことで書く力もついてくる
本をたくさん読むと、読む力がぐんぐん身につきます。勉強のすべての基本は日本語を読むことにあります。算数でも理科でも社会科でも、文章を読まないことには何もはじまりません。日本語の読解力にすぐれていれば、どんな教科でも成績が伸びます。それに加えて書く力もつくというのが私の考え方です。
みなさんは作文というと何を連想しますか? 読書感想文ですか。それとも小論文?
作文で一番重要なことは、自分のなかに表現したいという気持ちがあることです。こうした動機付けも、たくさん読書をすることで育っていきます。
国語の試験で、文章を読んで作文を書かされることがあります。「あなたはどう思いますか?」と聞かれても、心のなかに貯金がなければ何も「思う」ことはできません。読書をするということは心のインプットを増やすことにもなります。インプットが増えればアウトプットも増えます。