ようやく毎日新聞が、「それならサンデー毎日がいい」と、編集部に回し、当時の鳥越俊太郎編集長がやると決断した。発売後、外国の新聞が取り上げ、大スキャンダルになり、宇野はわずか69日で辞任に追い込まれてしまった。

週刊誌の強みは噂の段階から追及していくことである。新聞やテレビは、事件化し、警察などが発表しないと書かない。そのために勇み足も多くなり、告訴されることも多いのだが、噂の中にも、幾ばくかの真実がある。

文春の名を知らしめた「疑惑の銃弾」(1984年)という連載があった。夫が妻を殺して保険金を受け取ろうとしたのではないかという疑惑であった。結局、男は逮捕されたが、妻殺しでは一審有罪、二審で逆転無罪となった。

くだんの男は、その後、報道機関を名誉棄損で訴え、多くのところはカネを払って和解した。

ビートたけし軍団による「FRIDAY襲撃事件」

名編集者といわれた新潮社の斎藤十一が写真週刊誌FOCUSを創刊したのは1981年だった。続いてFRIDAYが講談社から出され、文春からEmma、小学館からTOUCHが出て、写真週刊誌ブームが起きる。

特にFRIDAYは芸能人たちのスキャンダルを得意とし、いくつもの張り込み班を組織して、カネも人も大量につぎ込み、毎週のように隠し撮り写真を掲載して部数を伸ばした。FOCUSも負けじと隠し撮りに力を入れFF戦争といわれた。だが、ビートたけし軍団がFRIDAYの編集部を襲い、副編集長にケガを負わせる障害事件が起き、写真週刊誌の取材に対する批判が巻き起こった。

それを機に、写真誌は急激に部数を落とし、当時500万部といわれていた写真誌も次々に休刊してしまった。現在、FRIDAYとFLASHだけが残っているが、両誌合わせても約14万部である。

売れなければ、無駄の多い張り込み取材に人もカネもつぎ込むわけにはいかない。

さらに、1997年をピークに、週刊誌の部数も下がり続け、現代、ポスト、新潮は実売20万部前後、文春も30万部を切っている。ネットの発達により、週刊誌がスクープした記事も、アッという間にネット上で拡散してしまうため、スクープ=部数増とはいかなくなった。

現代とポストはカネのかかる事件物やスクープ競争から手を引き、高齢者向けの病気、年金、相続というテーマに絞った誌面作りに方向転換してしまったのである。