価格帯別累計売買、2万1000円はポイント
日経平均については、2万1000円はやれやれ売り(購入した株が値下がりし、保有していたところ、相場の回復で買い値に近づいて、売却すること)が出やすいです。
価格帯別累積売買とは過去に「いくらの値段で・どれくらい売買」されたのかを集計したものですが、これをみると、日経平均は2万1000円以上から500円刻みで大量の売買が過去にあったことがわかります。過去に大量の売買があった値段には含み損を抱えている人が多く待ち構えているため、株価が戻ってきた場合には「含み損がなくなったところで早く売ってスッキリしたい」と考える人がたくさんいます。3月の急落過程で買い持ちの整理が大幅に進んではいるものの、戻り待ちの売りが強くなる水準でもあります。ここから、先は海外投資家の買いがどの程度続くのかが、日経平均の上昇のカギとなりそうです。
今後の悪材料。特に懸念すべきはローン担保
現在の過剰流動性こそが、「リスクそのもの」である可能性もありますが、上記で述べた通り、リーマンショックの過去の経験から、今はこの過剰流動性のまま突き進むしかありません。5月の雇用統計でアメリカ失業率13.3%と前月より改善したものの、依然、厳しい状況です。さらに、激化する米中対立やアメリカ大統領選挙を控えて株価の調整の可能性など、今後の悪材料は多数あります。特に懸念すべきものは、ローン担保債券の増加です。海外クレジット投資における懸念です。
リーマンショックの際には、金融危機の引き金となったのは、住宅ローン、住宅ローン担保証券(RMBS)といった家計債務でした。今回、金融市場が懸念しているのが、信用力の低い社債、信用力の低い企業向けの融資、いわゆるレバレッジドローン、それを証券化したCLO(ローン担保証券:Collateralized Loan Obligation)です。このCLOの格下げが3月に入り急速に行われています。
リーマンショック前の2007年3月時点でのサブプライムローン残高は約1兆3000億ドルでした。直近のデータを見てみると、2018年時点ではBBB格社債が約3兆2000億ドル、ハイイールド社債が約1兆2000億ドル、バンクローンが約1兆2000億ドル、レバレッジドローンが約1兆1000億ドルという規模感に膨れ上がっています。