年収1000万なら「時給5000円」を意識して働くべき

——これからの仕事は、発想を成果主義に切り替える必要がある。

【柳沢】昔、私はある役に立たない会議に参加していましたが、「会議の議事録が1行いくらになるか、計算しましょうよ」と提案したことがあるんです。そのためには自分の時給がいくらかを計算する必要があります。

簡単にできますよ。自分の年収を2000で割れば、おおよその時給になるんです(週40時間の労働時間×52週で2085時間が年間の労働時間の上限とされる)。年収1000万の人なら時給5000円。時給5000円の人が会議に10人集まったら1時間5万円。5万円でその会議の議事録がたった2行なら1行25000円となります。自分は時給換算した時の「富」を生み出しているか、その会議にはそれだけの成果があるのか、常に考えなければなりません。

——私はフリーランスですから今日一日でいくら稼いだかなど、お金にはシビアですが(笑)。

【柳沢】そうでしょうね。自分が稼ぐ時に「どういう風にお金がまわるか」という視点を持つ。ところが大企業に勤める男性ほど考えていない。あと何年後には平均的にはこのポジションで、役職手当はこれくらいでと頭に描いている。ハローワークにやってきた中年の人が「あなたはどういう仕事ができますか?」と聞かれて、「部長ができます」などと答えた笑い話がありますが、もう年功序列の時代は終わりました。

女性の場合は、結婚して出産する時など、仕事をどう続けるかを考える機会があり、成果に関してもっとシビアですよね。そういう意味では今の日本社会は女性が支えていると思います。

給料の4倍以上を稼がないと組織としてはまわらない

——つまり組織に甘えず、この一時間で何を生み出せるか。

【柳沢】そうです。特にリーダーとして仕事をするなら、自分が得る給料の4倍以上稼がないと組織としてまわりません。自分が年収1000万を得るなら年間4000万~5000万円は稼がないと。秘書や受付などの人材、コピー機などの設備、家賃も必要になりますからね。

一生懸命働いているけれど成果につながらないなら、その原因がどこにあるのか、考える必要がある。自分の持ち場がどこにつながっていくのか。「成果」は、自分で作り出すしかありません。

(聞き手・構成=笹井恵里子)
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