直接会うよりも、リラックスして会話に集中できる

直接会うことができないのに、画面越しでのお見合いのほうがなぜ仮交際率が上がるのだろうか。IBJ広報担当の椎名麻里さんによると、大きく3つの要因があるという。

「オンラインお見合いを希望する方は、自粛期間中も婚活したいという、もともと結婚への意欲が高い方が多いです。もう一つは、外で会う場合と違って画面上だと会話に焦点が当たりやすく、コミュニケーションに集中できる面があると思います」

対面でのお見合いは通常、ホテルのラウンジなどで行われることが多く、時間は1時間から1時間半程度。常日頃からラウンジを利用している人ならともかく、慣れない場所で初対面の相手とコーヒーを飲み、90分近くの時間をおしゃべりして過ごすのはなかなかハードルが高い。

対してオンラインお見合いの場所は多くが自宅で、時間は長くても1時間程度だ。リラックスできるうえに、いつもより短い制限時間が相手のことをもっと知りたいという意欲を掻き立てるのかもしれない。

3つ目は、外出自粛という異例の状況下で共通の話題が生まれやすいことだ。リモートワークやオンライン飲み会の普及でZoomなどのビデオ通話に慣れており、家では何をして過ごしているんですか? と会話に花を咲かせやすい。「楽しかったので今度は直接会ってみたい」と、仮交際に対するハードルが通常よりも下がっている現状があるのだという。

「オンラインプロポーズ」に大成功した男性

ユーザーは主に首都圏に集中しているが、地方在住者や期限つきで転勤している会員もオンラインお見合いなら距離の心配をしなくてすむ。気になるのは「仮交際」となったその先だ。IBJでは外で会う代わりに、自宅で楽しめるオンラインデートを推奨している。

2人でオンラインゲームの対戦をしたり、所蔵品を公開している美術館のサイトでバーチャル鑑賞したり。通話しながらスマートフォンの画面を共有し、見たい動画や映画を一緒に楽しむツールもある。コロナ禍で一気に増えたオンラインコンテンツを駆使し、さまざまに工夫しながら2人だけの特別な時間を共有しているようだ。

中には、外出自粛が始まる前から対面でのデートを重ねていた、真剣交際中のカップルで「オンラインプロポーズ」が成功したケースもある。

「結婚を前提にお付き合いしていたのですが、4月から会えなくなったことでプロポーズの計画が立てられず、先の見えない不安で関係が希薄にならないかと心配をしていました。そこで男性と仲人で相談し、オンラインプロポーズを計画。彼女にはサプライズで決行し、男性が用意したダイヤモンドを画面越しに見せてプロポーズしました。このような状況で先が見えないからこそ、オンラインを利用しお互いの気持ちを見えるようにすることで、早期に結婚につながったのだと思います」(椎名さん)