コロナ禍ではっきりした日本政府と国民の性質

国会の参考人質疑で竹森氏が述べた「国内パスポート」は上記のような諸外国の状況を踏まえたものであろう。そのため、「通行手形の復活」をリアリティのある話として日本国民は受け止めるべきだ。

「関所」をどのように復活させるのかについては極めて疑問があるが、他の都道府県在住者が宿泊施設などを利用する際に証明書の提示を求めることを義務化すれば一定の効力を及ぼすとも考えられる。ホテル宿泊時にフロントで記載する何の意味もない書類が久しぶりに意味を持つようになるかもしれない。極めてばかばかしい冗談と思われた「国内パスポート」が現実化しかねない状況なのだ。

日本政府は、新型コロナウイルスに対しこれからも「想像を絶する」対応をするかもしれない。国民は、自らの生活を防衛するため、政府の行動に対して常に最大限の監視と警戒を怠るべきではない。

既に日本政府は「自粛」によって日本国民の経済活動に多大な損害を与えてきた。政府による「自粛要請」とそれに従わない店舗名の公表、そして正義感に駆られ「自粛警察」化した国民によって、多くの店舗が休業に追い込まれ十分な補償も受けられぬまま廃業の道を選んだ。

5月25日に政府の緊急事態宣言は解除されたものの、それらが残した経済へのダメージや後遺症は計り知れないものとなっている。そして大都市部では根拠不明の「休業要請」が依然として継続している。このように、通常ではおよそ実現不可能なようなことでも、政府がやろうと思えば実現しうるという現実をわれわれは重く受け止めるべきだ。