急にできたまとまった時間を生かす

私は20年間、アメリカで学習塾を経営しています。父親の海外転勤や海外移住に伴って、本人の意思とは無関係に異国に移り住んできた子どもの多くが、アメリカの学校にスムーズに適応できずに苦労します。居心地がよかった日本の生活から、ある日突然、言葉が通じず、文字が読めず、習慣や文化が異なるアメリカの学校に放り込まれるのですから、不安や恐怖で身がすくんでしまうのは当然です。

船津徹『世界標準の自己肯定感の育て方』(KADOKAWA)
船津徹『世界標準の自己肯定感の育て方』(KADOKAWA)

しかし一方で、環境の変化を物ともせず、アメリカの学校にスムーズに適応していく子どももいるのです。そのような子どもたちに共通するのが「自信」が大きいことです。

環境適応が早い子は、例外なく、スポーツ、音楽、ダンス、アートなどの「強み」を持っています。何か一つ人に負けない「強み」があると、子どもの自信は倍増するのです。その自信が原動力となって、困難、逆境、ストレスに立ち向かえる強い心が育つわけです。

自宅待機を利用して、子どもの得意分野を伸ばすこと、「強み」を育てることにフォーカスしてみてはいかがでしょうか。これほどまとまった時間が取れるチャンスは、子どもの人生の中でもなかなかありません。コロナ騒動が収まれば、学校の勉強、習い事、受験、就職と休む暇なく、やるべきことに追われる日々が待っているのです。

子どもの得意を見つけ、引き出し、伸ばすことをぜひ実践してみください。「強み」を身につけ、自信を大きくすることができれば、どんな環境の変化にも柔軟に適応できる子どもに育つことはもちろん、アフター・コロナの社会で頭一つ突き抜けることができるはずです。

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