僕のノート術の基礎は中学時代にマスターした。ちょっと自慢話になって恐縮だが、あるとき社会科の授業で先生が「東国原くんのノートをみんなで参考にしなさい」とクラス中のお手本にされたことがある。中学時代のノートは、書いた文字を丸や四角で囲んでいくつかに色分けしていた。ビジュアル的にも見やすく、僕のノートは完成すると、その当時、重要なポイント部分に色が使ってあって人気の高かったチャート式の参考書みたいになった。参考書を買うほど裕福ではなかったし、教科書に書き込みをしてはいけないと先生から教えられていたこともあったが、自分で工夫した解説付きのノートをつくるのが楽しかった。それと、僕は学級委員長や副委員長を務めていたこともあり、病気で休んだ同級生にノートを見せる役目があったことも、誰が見ても読みやすいノートをつくる習慣を身につけることができたのだろう。とにかく自分で自分流のノートをつくると習ったことの整理がつくし頭にも入る。試験のときにも復習しやすいから、この“チャート式ノート”のおかげで、学校の成績はトップクラスだった。
わかりやすいノート術は2000年、早稲田の第二文学部に入学してからも役に立った。僕は学生時代、授業には真面目に出席はしていたが、家に帰ってノートを見直すとか、翌日の講義のために教科書を読んでおくといった予習復習はほとんどしなかった。講義の内容は、できるだけ授業中に理解し、ノートを細かく取ることで頭に入れるように努力していた。さすがに大学時代は色分けまではやらなかったが、基本型は中学時代と同じだった。
僕がノートづくりで工夫した点は、講義の内容に対して自分なりに考えたことや思いついたこと、疑問点、あとで質問したい項目などをメモしていたことだ。さらにノートの上の余白は、レポート提出の締め切りなどの連絡事項をメモする備忘録にしていた。
これだけの内容を筆記するとなると文字量が多くなるので、滑りのいいボールペンで小さく書き込んでいた。
こうすることで、その時々に感じた問題意識をノートの中で解決していた気がする。こうした記録の仕方は後になって実社会で役に立つ場合が多く、僕にとっては貴重なデータベースになっている。