自粛圧力に耐えている民間事業者を馬鹿にするのもいい加減にしろ
したがって、緊急事態宣言延長後にガイドラインを作ることは論外なことは明らかだ。緊急事態宣言期間中に策定が完了することは最低限のことであり、可能であれば先月の同宣言公表以前の段階で作られていることが望ましいのは当然だ。むしろ、事業活動再開のためのガイドラインが緊急事態宣言解除判断日に揃っていないということは、政府は最初から1カ月で緊急事態宣言を解除するつもりが無かったと言っているに等しい。苦しい思いで自粛圧力に耐えている民間事業者を馬鹿にするのもいい加減にしてほしい。
安倍首相は「わが国の雇用の7割を支える中小・小規模事業者の皆さんが、現在、休業などによって売上げがゼロになるような、これまでになく厳しい経営環境に置かれている。その苦しみは痛いほど分かっています」と述べている。その中で5月1日からの持続化給付金、すでに対応が行われている中小企業への融資や雇用調整助成金の措置について触れている。
安倍晋三の国民生活への無理解が明らかになった
だが、すでに実施されている施策についても制度の複雑さや対応速度等の使い勝手の悪さによって中小企業の怨嗟の声が渦巻く状態となっている。雇用調整助成金を受給するための基準には、行政用語に慣れていない中小企業側にとってはチンプンカンプンな文言が並んでおり、結局は社労士に頼まない限りは申請すらままならない。
諸々の対応策の実施が遅れた理由として補正予算の成立が遅れたこともある。その理由は安倍政権が作成した限られた人しか受け取ることができない30万円給付金にあった。その理不尽さが国民の怒りを買って連立与党の公明党が動いたことで、補正予算閣議決定後に一律10万円給付金に予算の組み直しを行う羽目になったのだ。つまり、国民の現場の声に耳を貸さず、安易に表面上の額面だけを増やした給付金が却下されたのだ。公明党の対応は生活者の声に敏感だったと思うが、逆に安倍政権の国民生活への無理解が明らかになった出来事だった。