ドンドン増えるコロナ破綻。飲食業界から悲痛な声が漏れる

東京商工リサーチによると、4月22日までに「新型コロナ」関連の経営破綻は、全国で累計81件に達しています。2月25日に、冨士見荘が中国人観光客の激減から閉館し、わずか2カ月で経営破綻が累計80件を突破しています。インバウンド依存の宿泊業が14件、外出自粛の影響で来店客が減少している飲食業・アパレル関連が各9件となり、危機の連鎖が拡大しています。

そういった中で、大阪府で飲食店を3店舗運営している男性によると、「次の職場が見つかった正社員2名を解雇し、融資や休業要請に応じて協力金を受け取ることで、先が見えない時期を耐え抜いた後に再開したい」と悲痛な内実を語ります。大阪府は、緊急事態宣言に伴う休業要請に応じて、中小企業には100万円、個人事業主に50万円の支給を発表しており、これを活用することで事業を継続していく見通しのようです。

総務省統計局のデータから、この分野の産業別就業者数を見ると、卸売業・小売業は1072万人(約16.1%)、サービス業は445万人(約6.7%)、宿泊業・飲食サービス業は416万人(約6.2%)と、全就業者数約の約30%を占めており、日本を支えている産業を廃業させないことが何よりも、「コロナ失業」の被害を最小限に抑えるものであるといえます。

後継者問題を抱えた企業の中には「諦め」に入るところも

一方、存続を諦める企業も。政府は事業規模108兆円の大型経済対策を打ち、支えようとしていますが、売り上げをすべて補塡ほてんできるわけではない。新しい借り入れを背負っても、返済できる見通しがなければ事業の継続を諦める選択を余儀なくされます。コロナ以前から日本の問題の1つに、高齢化から後継者が見つからずに倒産する企業が増加しています。帝国データバンクによると、後継者不在による事業継続の断念などが要因となった後継者難倒産は2019年に460件発生しており、ここにコロナショックが追い打ちをかけています。

問題はさらに深刻で今後、新型コロナの問題が長期化すれば、健全な経営を続けてきた企業の成長を侵食しかねない。また、スタートアップ企業にはイノベーション創出の観点や日本の未来を背負う人材の宝庫であることからも、大きな期待が寄せられているのはコロナ禍でも変わりはないでしょう。しかし、スタートアップは創業間もない企業も多く、銀行融資や補助金を受けるハードルが比較的高くなっています。

ベンチャー企業は大ピンチ、自動車はこれから悪材料

起業の科学』著者、田所雅之氏によると「戦時下の今、スタートアップ企業は単月黒字化を早め、Jカーブを浅めに掘ることが求められる」と述べる。スタートアップ企業は「赤字でも成長性があれば良し」とされていたビフォーコロナの状況から変化を求められることになります。しかし、コロナ禍でも資金の出し手である、ベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家には変わりないスタンスが求められます。なぜなら、資金調達が継続的に行われることは、アフターコロナの世界に存在するべき企業や人材が生き残るためには必要不可欠だからです。

大きなインパクトを受けているのが日本の基幹産業である自動車業界です。新型コロナによる、中国のサプライチェーンの停滞が日本における自動車生産にも影響を及ぼすことをあらためて知らしめました。自動車業界の市場規模は約68兆円といわれ、日本のGDPの約10%を占める規模を誇っています。就業者数は約546万人(約8.2%)と、こちらも携わる人口が多いです。この自動車メーカーの業績ダメージが本格化するのは2020年4~6月となり、ここから先に悪材料が出てくることになります。