処方箋「攻撃をやめてみる」

まず非難や憤慨の言葉を自制することから始めましょう。対決を挑むような言葉は人間関係を確実に悪化させます。とくに上司との関係が悪くなれば、つまらない仕事しか任されなくなります。そうなると、ますます反発する気持ちが湧いてきて悪循環に陥るだけです。

納得がいかないことがあれば、攻撃ではなく提案の言葉で相手に伝えるべきです。たとえば報告書作成の指示を理不尽に感じたなら、「ほかの仕事の負担を減らしてもらえれば、報告書づくりに集中できるのですが」「要請されたものと違う書式で作成したほうがわかりやすいと思います」などと代替案を提案します。このように前向きな提案として伝える習慣をつければ、人間関係の悪化を防ぐだけでなく、仕事に主体的にかかわることになって被害者意識も薄らぎます。

これは面従腹背型の人の場合も同じです。言いたいことを腹に溜めて水面下で相手の足を引っ張っても、お互いが不幸になるだけ。建設的な提案の形で相手に投げかけ、お互いにすっきりしたうえで仕事に取りかかるべきです。

反発心を抑えるには、相手を巻き込んで一緒に作業するのも選択肢の一つです。反抗者タイプが被害者意識を持つのは「自分は頼まれた側」という意識があるからですが、共同作業にしてしまえば頼む側と頼まれた側という対立構造が消え、相手に対抗する必然性もなくなります。

もう一つお勧めしたいのは、好きなことに熱中する時間をつくることです。他者を攻撃する行為にはある種の快感が伴いますが、攻撃的な人格を持つ人は日常生活で満足感を得られず、その穴埋めとして他者を攻撃している面があります。ただし、他者を攻撃して得られる気持ちよさは一時的なものであり、相手から反撃を受けて不快感を覚えることも珍しくありません。そんな非生産的な行為より、自分の好きなことに打ち込んだほうが大きな満足感を得られます。

取り組むのは、仕事でも趣味の分野でもかまいません。自分の力で成し遂げる充実感を味わえば、無意味な反抗で仕事を遅らせることも減っていくでしょう。

(構成=村上 敬)