ここには、安倍夫婦に共通する、弱者への眼差しというものが見られない。福島第一原発の事故後、故郷を捨てざるを得なくなって、避難している福島県の人たちが、これを読んだら、どのような気持ちになるのかを考えることができないのだ。安倍や昭恵には、人間として大事なものが抜け落ちているといわざるを得ない。
沖縄の基地建設反対運動を“物見遊山”に訪れた
その後も、辺野古新基地(沖縄県名護市)の反対運動を支援している三宅洋平と知り合い、三宅にすすめられて、いきなり新ヘリパッド建設に反対している高江のテントを訪れるのである。
昭恵は、「反対運動の現場で何が起きているのか知りたかった」というが、現地の平和運動センター事務局長・大城悟は、次のように語ったという。
「総理が高江でやっていることには反発をもっている。その夫人に、現場としては強く抗議したいと思っている。本当は連れてきてほしくなかったと現場は思っています。そういう思いがあることはわかってもらいたい」(IWJ 2016.8.7より)
さらに、沖縄で平和運動に取り組んでいるKEN子氏も、戸惑いを隠せずにこう述べたそうだ。
「この出来事を少し遠くから見ていた友だちは、抗議行動で頚椎捻挫したり、海保にやられたり……そういう思いをしてきた。よく殴らずに非暴力で繋げてきたと思う。被害にあった友だちらが昭恵夫人を引き止め、『おい!』と迫ることもできた。
でも、もしここで暴走して昭恵夫人に手でも出せば、運動は終わり。被害を受けた友だちが小声で『なんで誰も何も言わねぇの?』って言っていたのを聞いて、『ごめんなさい』と思った」(同)
わずか10~15分しかいなかったという。反対運動をやっている人たちが、「何しに来たのか」と憤るのは当然である。
命の危険を顧みず体を張って反対運動をしているのに、彼らの天敵である安倍の妻が“物見遊山”に来た。新ヘリパッド建設や辺野古の埋め立てには私も反対だ、一緒に座り込むというのではない。
憲政史上最長の政権をいちばん謳歌しているのは彼女だ
その後も、安倍の行く前に、ハワイの真珠湾に見物に行っている。これも、ハワイで海洋環境フォーラムが開かれる「ついでに」寄っただけである。
週刊誌の対談で、「日本古来の神とつながる精神性を得るためには日本製の麻を使う必要がある。日本を取り戻すことは大麻を取り戻すことだ」と、突然いってしまう。
こうした脈絡のないその場限りの発言は、自分は選ばれた人間だから、何をしても許されるという思い上がった考えがベースにあるに違いない。
それは、安倍と結婚する以前、彼女の育ってきた環境に負うところが多いと思う。