株価の底はどこだ──。

投資家が株式市場の暴落を予想した場合に、連鎖的に売り注文が殺到し、投げ売り的な急落相場になることを「セリング・クライマックス」と呼ぶ。過去には1991年8月に起こったソ連8月クーデターショックによる世界的な株価の暴落などが例として挙げられるが、いずれにしても数日で逆に株式市場が急騰した。つまり、売りたい投資家が全部売ったところで上昇するのが特徴なのである。

株価は一気に20年以上前へ逆戻り

株価は一気に20年以上前へ逆戻り

だが、今回の金融危機の場合はどうか。世界的な連鎖株安の事態を受け、日本では10月7日に日経平均株価が2003年12月以来の1万円割れとなり、その後も株価は下落する一方だ。そのうえ、ドル安、ユーロ安、さらには新興国の通貨危機の影響から円高が急進。輸出産業の業績への懸念がさらに株安に追い打ちをかけ、実体経済への影響はこれからという様相を呈している。

では、本当のセリング・クライマックスはいつなのか。経済評論家の保田隆明氏は「今後ひとつひとつ出てくるニュースや統計データに一喜一憂することになる。先行きの不透明さは過去最悪で、まだまだ株価が下落する余地は大きい」と指摘する。そのうえで、「目下は中国とインドの動向。日米欧がこうした状態であるため、特に中国経済への期待が相対的に高まっているので、失速すると影響は甚大」(保田氏)。

セリング・クライマックスが起こるのか、あるいはこれが世界恐慌の幕開けなのか。世界経済は予断を許さない状況となってきた。

(ライヴ・アート=図版作成)